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Van Gogh

一昨日、国立新美術館で開催されている「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」を観てきました。
随分前から楽しみにしていたのに、やっと。
でも本当に行ってよかった。

なんといっても、「サン=レミの療養院の庭」
精神を病んで入院していて外出できなかった頃に、荒れた庭を描いたもの。















これ、写真で見ると、わたしが普段好きになれないタイプの画なんだ。
色も多いし、ごちゃごちゃしているし。黒の使い方もすきじゃないと、一瞬おもった。
でも、間近で観たときのエネルギーがものすごくて。
植物の持っている、目には見えない生命力が画面から溢れ出している感じ。
圧倒されてちょっと涙がでた。
やっぱり生じゃないと分からない良さってあるなあと再確認できました。

あと印象に残っているものメモ。
今回なぜか、木の幹の描写に目が行きました。
普段、空と海と木の枝葉は注目して観ているんだけど。誰もが描くけど個性が出やすいから。
でも幹をちゃんと観たのははじめてかも。

マグロンヌの地中海風景」ギュスターヴ・クールベ
  構図と色彩のバランスが、これしかないっていうくらいに落ち着いていてすきでした。空の淡い色と海の深い青色が引き立て合っていた。

「マルメロ、レモン、梨、葡萄」ゴッホ
  展覧会の説明にもあったけどゴッホの画は補色、特に黄色と青の使い方が印象的ですが、これはほぼ黄色。額縁もゴッホ本人が彩色したもので、黄色。黄色と言っても黄土色っぽいくすんだ色なので主張しすぎないのが良い。独特の筆使いが引き立っていた。

「モレのポプラ並木」アルフレッド・シスレー
  シスレーで初めてすきだと思った。手前の木の幹に光が当たって木陰ができている感じが、すごくリアルに自然の安心感を感じさせられてドキっとした。

「オンフルールの港の入口」ジョルジュ・スーラ
  スーラも苦手だとおもっていたけど、この作品は点描の使い方と色遣いでうまく奥行きが出ているのが気に入りました。

「アルルの寝室」ゴッホ
  たくさんの色を使っているのに全くうるさくないし、飾り気のない寝室なのに美しいのは、どうしてだろう。

「種まく人」ゴッホ
  浮世絵に影響を受けたと言われる大胆な構図。暗く描かれた手前の人物と、バックの大きな大きな夕日と明るいの空の対比に、わたしのすきな人やモノの根っこがある気がする。

「ある男の肖像」ゴッホ
  歪んでいるのに均整が取れていて、おじさんなのに綺麗な画で、不思議と惹かれた。

「あおむけの蟹」ゴッホ
  一見してゴッホっぽくないと感じましたがものすごくすきです。たくさんの赤と緑がとても綺麗。不安定なアングルと細かい描写と力強い色遣いで蟹が生き生きと感じられた。

「蔦の絡まる幹」ゴッホ
  印象に残っていうのは、茶色と緑の地味な色。うねる筆遣い。観る場所によって表情を変える。

「夕暮れの松の木」ゴッホ
  手前に大きく描かれた松の木の幹が、なんというか色気があってすごく惹かれた。きっとこの木を描きたくてこの絵を描いたんじゃないかなあと感じました。

「アイリス」ゴッホ
  綺麗な、ゴッホらしい黄色と青(元は紫に近かったらしい)の対比で、晩年の作というのが意外に感じました。背景の明るい黄色と塗りのシンプルさでバランスがとれているけれど、アイリス自体は枯れかけているものが混じっていたりと力強くも哀しい表情をしていて、でも全部ひっくるめた美しさを感じました。


ゴッホはいちばんすきな画家です。
すきになったきっかけは幾つかあるけど、そのうちのひとつが、富山県立近代美術館「AIGコレクション 印象派の光  エコールドパリの夢」で観た「夫は漁に出ている」。
(サイトを観ると、今回展示されていたゴーギャンの「ブルターニュの少年と鵞鳥」がポスターに使われている。なんか既視感があったけれど再会だったんだ。)
療養所に入院している頃に描かれた、確か模写の作品だったと思うのだけど、あまりにも陰鬱なオーラを発しているのにすごく惹かれてずっと観ていた。

有名な耳を切ったエピソードもあったり、ゴッホというと精神病だとか孤独といかいうイメージが強くて、わたしもそういうところに当てはめて観がちだったけれど、今回それだけではないところもちゃんと観れた感じがした。
ミレーの模写を沢山していたり、印象的な色彩についてもきちんと学んだものであったり。他の画家に比べると独学のところが多いとはいえ、勿論勉強していないわけではないんだよね。

あと、わたしはゴッホの筆遣いがすきなのでいつもはそこばかり観ていたけれど、今回印象に残ったのは色の美しさ。美しさというより、わたし好みという感じかな(笑)。おなじ色でもグラデーションでたくさんの色が使われているけど、ひとつひとつがすごく好きなことに気付きました。


もしもこれを読んでくれた人で美術館にあまり行ったことのない人がいれば、是非行ってみて欲しいな。画家が選んだ色や作品の発するエネルギーは絶対に実物を観なければわからない。油絵だったら絵の具の塗り方によって一枚の画の中でも全然表情が変わるけれど、それは写真では決してわからない。近くで観るのと離れて観るのでは全く違う印象を受けたり。ライブに行ってこそわかる音楽の良さがあったりするのと同じだね。
もう少し空いていて静かに鑑賞することが出来るのならもっとおすすめできるのに。

来年はシュールレアリスム展があるみたい。
ダリがたくさん来るといいな。
メディア芸術祭とアーティストファイルも行こう。