ふくろうず「テレフォン No.1」とワンマンライブ

ご無沙汰しております。
いつものことながら書きかけで放置しすぎた。
ちょっとPC壊れたりしてね…

発売された7月なりワンマンのあった9月なりにタイムスリップした気持ちで、もしくはふくろうずと過ごした一年を振り返りながら読んでいただけると幸いです。

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ふくろうずのニューアルバム「テレフォンNo.1」が好きすぎるので全曲レビューしようと思います。言葉が想いにぜんぜん追いつかなくって、すきだーーーーっ!て叫びたくなるこの感じ。恋だ!



M1.GOOD MORNING SONG

ダイナミックだけど爽やかなドラムがアルバムの幕開けに相応しく、いつでも新鮮で、でもすっと入ってくる曲。穏やかに聴いていたらいつの間にかテンション高くギターが歪んでたりするのがとっても気持ちよい。

あとこの曲は内田さんの高音部がセクシーで!内田さんの、幼いけれど色気もある歌声を愛しておりますが、この曲はメロディも息遣いもハマッていてうっとりドキドキします。


M2.カシオペア

リリースが発表される前にMV(なぜか”DEMOバージョン”)が公開されていた曲。元々はこれがリード曲の予定だったのかな。てゆうかフルバージョン楽しみにしてたんだけど作ってないのかな!?
キャッチーで女の子らしくて、この曲とテレフォンNo.1でこのアルバムの方向性が示されている。
歌い出しから”ずっと前から好きだった”って、テレフォンNo.1は小悪魔っぽいけどこちらはもっと純粋なラブソングという印象。メロディの綺麗さとかカタカナの遣い方とかは内田さんらしくて決して嫌いではないんだけど、正直最初はちょっと引いてしまいました。

でも大サビ ”ほんとの愛じゃなくていい さよならだって愛しい 2人だけのテレパシー 1人だってシンパシー”のこじらせっぷりで全てひっくり返されて”らしい”曲になっていて、感動…
特設サイトのセルフライナーノーツによると、”ロマンチックで超絶明るいラブソングを作ろうと思ったけどまだ自分にはできませんでした(要約)”ということですが、ポップになっても暗さが残ったバランス感覚が大好きです。

あとはこの曲、珍しく打ち込みが入ってて。進化していくのは良いのだけど、音が安っぽいかなーというのと、慎重に使わないとありがちな電子音×ロックみたいになってしまいそうで、ちょっと心配。主張の強い音色でBメロの優しいギターやコーラスの繊細さが潰されてしまってる気がした。とはいえ、繰り返し聴いてるうちに既にほとんど気にならなくなっているのだけど。


M3.テレフォンNo.1




4月のプリティツーマンで初めて聴いたと思うのですが、可愛くてポップで眩しいくらいに明るくて、ちょっと戸惑った。
でも”ピポパポパピプペピポパポ”ってフレーズは強力なフックになっているし、電話番号途中までしか教えてあげないっていうAメロの小悪魔感は内田さんにハマってるし、音源で改めて聴いても、色んな人に胸を張って聴かせられる完成度の高いポップソングになっていて、古参ぶって文句を言う気にはとてもなれなかった。
MVが公開されたときも、TLで今までそこまで興味がなさそうだった人も引っかかっていて、明るい曲ってすごいなぁ届くんだなぁと思った。

そして久保ミツロウさんのこのツイートに激しく頷いた。


”ほんとは電話苦手なの でもまってるの、電話してね”

わたしも電話苦手なので。なのにかかってこないかなって待ってた時とかあったな。かかってこなかったけどね☆

この曲で特に好きなのは、”おまじないしとこ、アブラカタブラブー”って恥ずかしいくらい可愛い歌詞のあと、照れ隠しするようにリズムが緩んでギターソロが入るところです。


M4.パニック!パニック!パニック!

カシオペアやテレフォンNo.1とは逆方向に新しい曲。
4月のライブでは仮タイトル「カオス」と呼んでいて、その通り混沌としたパンクな感じの曲ですが、内田さんと卓丸くんのソフトな声が乗るとちゃんとふくろうずになるということに感激しました。これから更に方向性が変わっていったとしてもわたしはふくろうずを好きで居続けられるんだろうなと、自信が持てた。笑

YOU DON'T KNOW!って繰り返しのフレーズだったり、石井ちゃん活躍しまくりだったり、ライブで本領発揮するんだろうな。
でも、浮きそうなギリギリのこの曲があることでアルバムの強度が上がって、寿命がすごく延びたと思う。


M5.S・O・S・O・S

80'Sちっくなアレンジが最高。イントロのグルーヴ感が大好きで、毎回テンション上がるし、間奏は岡村ちゃんを思い出すダサさ(褒め言葉ですもちろん)で、愛くるしい。”S・O・S・O・S”と囁く内田さんの声がずるくって、ライブでの見所のひとつになると思います。

これも初めて聴いた時はポップだなー!って思った記憶があるのですが、それからできる曲できる曲どれもポップなのでこのアルバムの中では結構箸休め的な位置になってるのが、良い悪いじゃなくなんだかすごいなぁと。なんとなくだけど2ndAL「ごめんね」あたりの雰囲気を感じて、この軽くてつかみどころのない感じもふくろうずらしさなんだなと再認識しました。

あと、内田さんの詞で特に好きだなぁって思うのは哲学的な一節が多かったのだけど、サビのSOSってところを実際なんて言ってるのか分からない歌い方をしていて、今思えば響きを重視した詞も多いんだなと気付きました。
「テレフォンNo.1」のピポパポ~もそうだし、「グッドナイトイズカミング」のサビはスキャット的だし、繰り返しのフレーズも効果的に使っているし、「サタデーナイト」では”ぽっかりハートの”って歌詞カードには書いてあるのに何て言ってるか分からないくらい変わってたり。
刺さって抜けないような鋭いフレーズも書けるのに、意味にとらわれない音楽的な詞も書けて、内田万里恐るべし、と改めて。


M6.春の惑星

メロディも詞もアレンジも割と素直なのが珍しい感じのミディアムバラード。
でもその分内田さんの歌の良さが解りやすくて、気持ち良いです。”ねぇ大丈夫、わかってる、大丈夫”の大丈夫じゃなさが素晴らしい。

正直この曲を聴く度に1番で物足りなさを感じるんですが、大サビが終わってアウトロになる頃にはそんなこと遠い昔のことのように充実感に満ちてる、毎回。それは、”好きだった人の面影はどこ あー今は泣くもんか”ってグッとくるフレーズからどんどん展開していって豪華にコーラスも入って(と思ったけどクレジットに書いてないってことは自分たちでやったの…?)、ドラマチック!なんだけど、重くなく、わざとらしくない。実は4分ちょっとに収まっている曲だというのが、今時間を確認してびっくりしました。それでくどくないんだなぁ。


M7.見つめてほしい

歌い出しは”絶望も希望もループするのもうやめた”って、1stアルバムのタイトル曲であり初期の名曲「ループする」を好きなファンにはドキッとするフレーズから。

ふくろうず流のポジティブさというか、前作「砂漠の流刑地」に通ずるヤケクソ感。サビだけ聴くと可愛らしいラブソングに見せかけて、全力で逆走してる感じがめちゃくちゃ好みです。好きな詞を書き出そうとしたら全部になっちゃいそう。

強いて言うなら、”必然も偶然も出会っちゃえば意味ないじゃん”が二番では”終わっちゃえば意味ないじゃん”に変わるところのセンスがすごいなーというのと、そこから”おんなじだもうやめた””もうやめるの、やめたんだ”への展開というか盛り上げ方というか壊れ方がね、素晴らしい。そしてギターの残響のまま一瞬落ち着いてまた一気に盛り上がる緩急の付け方もたまりません。切り裂いてよ、ギター!

どんどん変わってきているふくろうずからこれまでのファンへのメッセージソングなんだろうか。内田さんがそういうことをするイメージはあまりないけど、ファンの要望(卓丸にもっと歌わせろ、とか)はなるべく取り入れる、と言っていたので意外と客観的に作っているのかなぁ。意図的にしろ偶然にしろ、一気に開けたあたらしいふくろうずのアルバムのラストにこんな、過去を切り捨てる勢いと切実さで”今だけを見つめてほしい”と言われたら、むしろ喜んでついていくしかないじゃないか。いつまでも見つめさせていただきます。



ということで、なんだか同じようなことばかり言ってますが。ポップ!
2ndAL『ごめんね』で好きになったわたし。3rdAL『砂漠の流刑地』を初めて聴いて、一曲目の『もんしろ』の勢いに驚いて、売れに来たなぁ!と、変化の寂しさより嬉しさが勝って頬が緩んだことをよく覚えている。外に向いているのに暗さもしっかり残っていたし。ライブやインタビューからも心境の変化がよく伝わったし。
でもこんなに良いアルバムなのにブレイクはしなかった。

多作だったはずのふくろうずが今回のリリースまで2年もかかったのは、前作が期待ほど売れなかったからというのもあるらしい。メジャーレーベルは大変だ。
でも、前回の比じゃない変化率で、誰にでも届くレベルの「J-POPバンド」となって新譜を届けてくれた今、多くの人に自信を持って勧めたい、こんな良いバンドがあるんだよって自慢したい、彼らの覚悟を広めたい、そんな使命感と、きっと重要なターニングポイントになるという確信で、胸が高鳴る。

個人的な好みで言うと、『ループする』の孤独感や、『砂漠の流刑地』のヤケクソ感の方が好きだ、と思う。でももはやそんなことはどうでも良い!マスに向かって行ったところで内田さんが天才なことも楽曲のクオリティもわたしがふくろうずを好きなことも変わらないことがこのアルバムで分かった。
どうかふくろうずの良さと内田万里の才能をたくさんの人に気付いてもらえますように。打倒ねごと。打倒赤い公園。笑


でも、単にポップに振りきれただけでなく、打ち込みだったり効果音いっぱい入れたりパンクだったり、7曲26分のミニアルバムでありながらふくろうずの振れ幅がかなり広がったのではないかと思います。
前述したように『見つめてほしい』は前作の雰囲気が色濃く残っているし、『カシオペア』や『テレフォンNo.1』のような曲でも必ずしもポップに迎合したわけではなくて、故意にしろコントロール不能な個性にしろひねくれた部分は色濃く残っているから、以前からのファンも安心して変化を受け入れられている。
それでいてこの短さなのに緩急がついてまとまりもあって、一周の満足感は元よりリピート再生にも余裕で耐えられるアルバムになっているわけで、初めて聴く人に打ってつけなのです。だから今日もわたしはふくろうずが好きだー!って叫んじゃうんだ。(twitterとかで)



そしてワンマンライブ。
『ふくろうずの内弁慶ツアー ~パピプペピンポイントNo.1ver~』 at LIQUIDROOM















ベルの音と共に電話のイラストが投影された幕が開くと、揃いのドットの衣装に身を包み、カラフルで安っぽいヘッドホンを着けたメンバーが登場。いいねいいね。

観たのは4月の対バンぶりで、その間の評判を聞いてものすごく期待していましたが、ほんと、びっくりした。
まずね、一曲目から調子が良いの。笑 いつも最初はそんなに調子が上がらず後半どんどん良くなっていくパターンで、特に内田さんは喉が開くまで時間がかかる印象があって、それも愛おしく思っていたのですが。今回は序盤に新譜からのポップな曲が続くセットリストだったというのもあり、とてもパワフル。パワフル?ふくろうずにそんな言葉を使う日が来ようとは。

一曲目『テレフォンNo.1』の間奏では受話器に向かって「もしもし?トーキョー!カムバック!」と叫ぶ内田さん。既に最高潮。客席もunitでのワンマン(良いライブだったけど客性が異様に大人しかった)が何だったんだと思うほど盛り上がってる。

『春の惑星』での石井ちゃんのギターが良すぎた。石井ちゃん。2年前のワンマンでは棒立ちでギターを弾く姿が印象的すぎた石井ちゃん。いつの間にバンドにとってこんなに大きな存在になっていたんだろう?笑顔で楽しそうに、メガネを振り落としそうになりながら演奏していたのがすごく嬉しくなりました。
以前のインタビューで内田さんが、石井ちゃんが楽しそうに演奏するかどうかが曲を判断するバロメーターだと言っていたのが、こういうことかと実感するライブだった。楽曲の幅が広がっても変わらずに石井ちゃんのギターが鳴っている限りふくろうずのアイデンティティは保たれていて、ネガティブな意味で「ふくろうずは変わった」と言われることはないんだろうと思う。

『通り雨』、前にライブで聴いた記憶が全然ないんだけど(笑)、音源と全然違う印象ですごく好きになった。湿度が上がっていて曲の世界にすっと入れた。新曲群が明るいので孤独感も際立ち、ライブ映えする曲になっていたと思います。

『サタデーナイト』は好きすぎて何も言えないけど、演ってくれてありがとう。
『ループする』は、他のメンバーをはけさせて、内田さんのソロ名義「うんこマン」で、キーボード弾き語り。リズムを崩して文字通り語るように歌ってくれたので、メロディの良さが際立つだけでなく詞の悲しさもずっと増して、聴いていてつらくなるほどに沁みました。元々特別好きなこの二曲は涙腺が緩んだ。

そしてはけていた3人が光るサングラスをつけて戻ってきて!新曲『GINGA GO』。まさかのテクノ…!卓丸はヴォコーダーでずっと「ギンガ・ゴー」って言ってる。
『パニック!』を聴いて”更に方向性が変わっていったとしてもわたしはふくろうずを好きで居続けられるんだろうなと、自信が持てた”とさっき書いたのが揺らぐレベルでびっくりして、なんかもうネタかマジか判断しかねる感じでしたが、楽しく踊らせていただきました。卓丸はもはやベースも弾いてなかったけど(あれ、後半弾いたっけ…?)、石井ちゃんは変わらずギターを掻き鳴らしていることに安心したりして。
うん、やっぱりふくろうずの中核を成すのは、内田さんの歌声と石井ちゃんのギターなのかも。

『だめな人』は、お決まりのハンドクラップが広い客席からも自発的に起きて嬉しい!そしてこれまたお決まりの卓丸の煽りなんですが、フェイントかけてて笑った。以前よりずっと堂々と前へ出て腰を振っていて、とても気持ち悪くて、こんなところで卓丸の成長を感じるとは。笑 この曲の盛り上がりがライブバンドとしての進化を裏付けていて、なんだか感慨深かったです。

もうひとつの新曲『マーヴェラス』は覚えられなかった…けどこれも打ち込み系でびっくり。『GINGA GO』よりはこれまでのふくろうずに沿った感じだったかな。これからも楽しみだー。


全体的にね、本当に、成長を感じたライブだった。
特に内田さんは、ヴォーカリストとして、フロントマンとして自覚的になって、今までも天然で十分凄かったのに、もはやどんなに大きなステージでも観客を魅了できるくらいの魅力を放っていた。それは立ち振る舞いも、表情も、歌い方も。
自分自身が楽しむと同時に、お客さんを楽しませること、お客さんに見られることをとても意識していたように思う。可愛い人が自分が可愛いことを自覚したときの最強っぷりったらないや。ステージ上のことだから嫌味もなく、とてもカッコよかったです。心底嫌そうに歌っていたあの頃とは別人のようで。みんなに観てほしいよー!

元々人前どころか人と関わることすら苦手そうな3人が、『砂漠の流刑地』のワンマンからライブに力を入れるようになって変わったと思っていたのが、今回そんな義務感じゃなくもっとはっきりした覚悟と自信を持っているように見えた。吹っ切れたら楽しめるようになったんだろう、もしくは、意識して自分たちも楽しもうとしたのかも。そういう諸々のパワーがステージから伝わってきて、この日の盛り上がりに繋がったんだろうと思います。
ふくろうず、覚醒!
感動的なほど、嬉しくって楽しいライブでした。















SET LIST
1.テレフォン No.1
2.カシオペア
3.パニック!パニック!パニック!
4.S・O・S・O・S
5.春の惑星
6.通り雨
7.サタデーナイト
8.ループする(弾き語り)
9.新曲 GINGA GO(仮)
10.グッドナイトイズカミング
11.トゥーファー
12.だめな人
13.GOOD MORNING SONG
14.見つめてほしい
ENC1.新曲 マーヴェラス(仮)
ENC2.砂漠の流刑地
ENC3.街はいつも雨のよう