MUSIC2013

日本一遅い2013年自分的ベストアルバム紹介。

年末年始にほとんど書いて放置してたのでその頃の順位ということで。笑


1.私立恵比寿中学「中人」














衝撃的に良かった。正しくアイドルポップの範疇にありながら、個性的で存在感が強い曲が揃っている。とはいえ程よく力を抜くところもあって、通して聴きたくなる収まりの良さもある。普段好きなアーティストのアルバムを聴いて、多少の違和感があっても色々理屈を並べてなかったことにすることが往々にしてあるけど、そういうのが馬鹿馬鹿しくなるほどに手放しで良い。好き。

中でも『誘惑したいや』は去年のマイベストソング!めちゃくちゃ聴いた。



今を生きる10代の一生懸命さを感じさせる速めのビートに扇情的なストリングスが乗って、きゅんきゅんしすぎて涙腺が緩む。
「私はあなたの目で飛んでいけるわ」
女子!

この曲もそうだけどほとんどの曲が普通の10代の悩みや叫びや日常を歌っているのも良いと思う。そして歌声も曲に負けずに本当に良くって。
9人という多めの人数は歌詞の「普通の10代女子」感に説得力を持たせてくれる。でもそれぞれの個性もはっきりしていて、特にぁぃぁぃと安本さんと美怜ちゃんがいることで楽曲がすごく締まると思います。
ぁぃぁぃに関してはアニメ声ももちろんだけどカッコいい方の歌い方がすごくて、曲の色を一瞬で変えるくらいの力がある。くどいくらいで最初は苦手だと思ったのに、9人の中だとちょうど良く輝いてハートを底から動かしてくれるから、良いグループだなぁと思わされる。ぁぃぁぃの他にもりななんやひなた、真山と低中音域をカッコ良く歌えるコが揃っているのも良い。(そしてそういうコがいても疲れないのは瑞季なっちゃん、ひろのさんがいたからであり…転校残念すぎる

それから、YMO『体操』のカバーや同じくYMO『増殖』におけるスネークマンショーを思わせるコントなんかのインタールードが収録されているのが、サブカル心をくすぐられる。インタールードは何度か聴くと邪魔になることも多いけど前述した声の個性が活かされているから全くそんなことがないし、個性の強い楽曲が並ぶ中で良い箸休めになると同時に、アルバムに統一感ももたらしている。
文句なしのナンバーワン!



2.ふくろうず「テレフォンNo.1」













以前こちらに(http://aya717.blogspot.jp/2013/12/no1.html)書きましたが、やっぱり内田さんの作る曲と詞と内田さんの歌声が大好きなんだ。ミニアルバムなのにずっとリピートして聴いてました。どんなに好きになったアルバムでも何度も聴くと新鮮味が薄れて聴き流すようになってやがて聞かなくなってしまうけど、ふくろうずに関しては何度聴いてもその度にだいすきだなーって思ってる。

必然も偶然も終わっちゃえば意味無いじゃん。
今年こそ売れろっ!


3.サカナクション「sakanaction」













なんだかんだで大好きなサカナクション、6枚目のオリジナルアルバムで、初のセルフタイトル。前作は万人に薦めやすいバランスの取れた作品で、その後「僕と花」「夜の踊り子」「ミュージック」「Aoi」と大型タイアップが続いてそれに伴いメディア露出も増えたということで、どんどん一般受けを狙っていくのかなと思いきや、ポップな面は既存曲に任せて結構攻めた印象の面白いアルバムだった。やっと立ち回りやすい地位に来たということなのかな。

「なんてったって春」の言葉遊びというか、響きの面白い歌は、久々にわたしの好きなサカナクションらしさを出してもらえた感じ。歌詞のインパクトの分アレンジは抑えめな印象だけど、後半の自然な盛り上がり方とか、本格的なクラブミュージックっぽくて楽しい。
クラブ寄りな前半からアルバム後半はフォーク寄りの曲が並んでいて、今のわたしの気分はこっちのサカナクションだなぁと思う。
特に「ボイル」の畳み掛けるような、息遣いを感じる歌唱は今までになかった感じでとても好きだ。



4.tofubeats「lost decade」















『水星』でプチブレイクして、一昨年わたしも印象的だった曲のひとつに挙げたtofubeatsですが、こんなにも彼の名前を聞くようになるとは思っていませんでした。なんだか嬉しい時代が来た!

水星や夢の中までを聴いておしゃれヒップホップなイメージを持っていたのだけど、アルバムを聴いてみるとintroを除いて一曲目の『SO WHAT!? feat.仮谷せいら』がJ-POPでびっくり。”いつも足りない24時間を 今夜は縮めていいよ神様”なんてとってもかわいいし、”そーわそわそー!”ってみんなで言いたいし、カラオケで歌いたくなる、まさにJ-POP。むしろアイドルソング。
でもカッコつけてなくてヤンキー的なヒップホップとか抵抗ある人でも聴きやすいってことで言えばある意味イメージ通りで、門戸を全開にしてくれている一曲目。

アルバム前半はテンション高くポップな曲が続いていて、特に『Les Aventuriers feat.PUNPEE』が大好き。PUNPEEはいかにもないかついラップなんだけど、歌詞は学生生活を懐かしみつつ大人になってから意外とクラスメイトと仲良くなったりして悪くないよねーみたいな爽やかでちょっとキュンとして万人が共感するところがあるもので、とても素敵なのです。そして次の『Fresh Salad feat.SKY-HI』ではトラックもいかつさを出してくるど、この頃にはすでにいかつさにも抵抗もなくなっているという流れ。というかSKY-HIってAAAの人だと最近気づいてびっくりしました。

M6を繋ぎにM7からはちょっと落ち着いた曲やシリアスな曲。どれも派手さはないけどかっこいいんだー。『No.1 feat.G.RINA』聴くとm-floを思い出すよね。やっぱりシングルの『夢の中まで feat.ERA』『水星 feat.オノマトペ大臣』が良いです。そして『LOST DECADE feat.南波志帆』の最後の曲っぽさも最高。
無理なくテンションが上げられるので外出する時iPodで迷ったらコレって感じで再生してました。



5.泉まくら「マイルーム・マイステージ」















女性ラッパー…ではなくて、「ラップをする女の子」らしい。たしかにそちらの言葉の方が良く似合う泉まくら。ロリ声で、独り言や鼻歌の延長線上にあるように聞こえるラップは、しかし気持ち良くトラックに乗っていて、誰かにやらされているとかではないちゃんとしたラッパーなんだなと分かる。

歌詞はすごく生活感が溢れていて、聴いていると自分も恋愛至上主義な女子みたいに切なくなれる。
”失恋休暇とやらが取れるらしいので早速2連休中です”(『ワンルーム』)って歌い出しのインパクトとかすごいなぁと思う。そして ”触ったことのないプレステだけど置いてったんなら貰おう”と続くこの生活感。
”いくつかの角曲がるたび ちゃんと君を振り返れば良かった さよなら”(『君のこと』)っていうところも好き。

美しいトラックにかわいいけれど生々しい湿ったラップが乗るテンションがちょうど良くて、出掛けるときによく聴いてます。EVISBEATSやFragmentなど多彩なプロデューサー陣が参加しているので、バリエーション豊かで聴き応えもあるアルバム。



6.青葉市子と妖精たち「ラヂオ」













ラジオで放送された青葉市子、坂本龍一小山田圭吾U-zhaan細野晴臣による豪華すぎるセッションの音源化です。試聴するだけのつもりで聴いて、一瞬で打ちのめされて購入を決めたアルバム。

このメンツを見ただけで素晴らしくないわけないのですが、”妖精たち”は決して前に出過ぎることなく。坂本龍一の雪のようなピアノと小山田圭吾の風のようなギター、それからU-zhaanの不穏なタブラの響きは、青葉市子の母のような魔女のような歌声の魅力をを引き立ててくれる。一方で細野晴臣と共演した曲では少女のよう。普段のシンプルな弾き語りよりも、音が広がることで彼女の凄さが解りやすくなっていると思います。

選曲的にも、ファーストアルバムから最新アルバムまでバランス良いだけでなく、Cornelius「STAR FRUITS SURF RIDER」や細野晴臣「悲しみのラッキースター」、「Smile」のカバーも収録されているので、青葉市子ってどんな人だろ?って方にはすごくオススメです。

動画は最新オリジナルアルバムに収録されているカバー曲でこのアルバムと違うんですが、素晴らしいので貼っちゃう。



7.lyrical school「date course」
















ヒップホップアイドル・リリスクの改名後初のオリジナルアルバム。
まずこのジャケの素晴らしさ!惚れ惚れします。Twitterで何度も言っているけど、リリスクのアートワークは本当に良い。

インタールードを除いた10曲のうち半分の作詞・作曲・編曲が今をときめくtofubeatsによるもの。他の作家陣も、イルリメ、okadada、Fragmentなど手堅いので、音楽ファンはそれだけで聴く価値ありです。
なので一曲一曲のクオリティは高いのはもちろん、複数の人が関わっているにも関わらず通して聴いたときのまとまりの良さがこのアルバムのすごいところ。タイトル通りデートがテーマになっていて、アルバムの中で恋の始まりと、失恋、そして失恋から立ち直るところまでが描かれている。

□□□が昨年リリースした「JAPANESE COUPLE」も同様の構成だったけれど、あちらはオムニバスの短篇集のような印象だったのがこちらは主人公像がはっきりしていてブレないのが良い。後半の失恋の曲で、楽しかった頃を回想するようにアルバム前半の曲のモチーフが散りばめられていたり。そしてもちろんその主人公はリリスク自身で、親しみやすいリリスクの雰囲気が反映された、ごく普通の女の子だ。

最初にリリスクを聴いた時、ラップのこなれてなさが気になったのだけど、今ではそれすらも彼女たちの魅力なのだなと分かる。あくまで普通の、しかし明るくて純粋な女の子が、カッコつけたりせずに楽しくヒップホップを歌う。その歌詞のリアリティは、提供された曲というのは百も承知で彼女たちはこういう風に恋をするに違いないと思わせ、彼女たちを好きにさせてしまう。
(ちなみに、最近よく聴いている90年代SMAPの楽曲についても同様の感覚がある。提供曲のラブソングでこれだけ本人とシンクロして聞かせられるってまれな気がするし、強い。)

「リボンをきゅっと」の”今夜恋愛ごっこしない?もう彼女でいいんじゃない?”ってフレーズがとても好きです。でもそれ以上に「でも」「P.S.」「ひとりぼっちのラビリンス」の失恋三部作がたまらないです。さっきはラップがこなれてないなんて書いたけど、こういうシリアスな曲でサムくならない表現力はさすがだと思う。




なんかもう順位決められないのでこのへんで。

あとは

さらうんど「New Age」(素晴らしかった前作に勝るとも劣らない内容)
片想い「片想インダハウス」(せつない。シンさんの歌声は誠実だ。)
Perfume「LEVEL3」(シングルと「ふりかえるといるよ」が良すぎ)
星野源「Stranger」(ずっとライブなかったのが痛いけど良いアルバム。「ある車掌」大好き)
KANA-BOON「僕がCDを出したら」(歌声が気持ち良いしバンドのバランスも良いし曲も粒ぞろい。高校生の頃に聴きたかった感じ。)
ももいろクローバーZ「5TH DIMENSION」(アルバム全体としてちょっと疲れる感じになっちゃってるけど、好きな曲は多い。「5 THE POWER」と「灰とダイヤモンド」が良すぎる)
きのこ帝国「ロンググッドバイ」(アンニュイさは残しながら霧が晴れたような表題曲が最高)

などなど。
単曲で好きなのもいっぱいあったんだけどnoteあたりで少しずつ紹介したいです。
今年もじゃんじゃん守備範囲拡げて行きたい!