ふくろうず「テレフォン No.1」とワンマンライブ

ご無沙汰しております。
いつものことながら書きかけで放置しすぎた。
ちょっとPC壊れたりしてね…

発売された7月なりワンマンのあった9月なりにタイムスリップした気持ちで、もしくはふくろうずと過ごした一年を振り返りながら読んでいただけると幸いです。

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ふくろうずのニューアルバム「テレフォンNo.1」が好きすぎるので全曲レビューしようと思います。言葉が想いにぜんぜん追いつかなくって、すきだーーーーっ!て叫びたくなるこの感じ。恋だ!



M1.GOOD MORNING SONG

ダイナミックだけど爽やかなドラムがアルバムの幕開けに相応しく、いつでも新鮮で、でもすっと入ってくる曲。穏やかに聴いていたらいつの間にかテンション高くギターが歪んでたりするのがとっても気持ちよい。

あとこの曲は内田さんの高音部がセクシーで!内田さんの、幼いけれど色気もある歌声を愛しておりますが、この曲はメロディも息遣いもハマッていてうっとりドキドキします。


M2.カシオペア

リリースが発表される前にMV(なぜか”DEMOバージョン”)が公開されていた曲。元々はこれがリード曲の予定だったのかな。てゆうかフルバージョン楽しみにしてたんだけど作ってないのかな!?
キャッチーで女の子らしくて、この曲とテレフォンNo.1でこのアルバムの方向性が示されている。
歌い出しから”ずっと前から好きだった”って、テレフォンNo.1は小悪魔っぽいけどこちらはもっと純粋なラブソングという印象。メロディの綺麗さとかカタカナの遣い方とかは内田さんらしくて決して嫌いではないんだけど、正直最初はちょっと引いてしまいました。

でも大サビ ”ほんとの愛じゃなくていい さよならだって愛しい 2人だけのテレパシー 1人だってシンパシー”のこじらせっぷりで全てひっくり返されて”らしい”曲になっていて、感動…
特設サイトのセルフライナーノーツによると、”ロマンチックで超絶明るいラブソングを作ろうと思ったけどまだ自分にはできませんでした(要約)”ということですが、ポップになっても暗さが残ったバランス感覚が大好きです。

あとはこの曲、珍しく打ち込みが入ってて。進化していくのは良いのだけど、音が安っぽいかなーというのと、慎重に使わないとありがちな電子音×ロックみたいになってしまいそうで、ちょっと心配。主張の強い音色でBメロの優しいギターやコーラスの繊細さが潰されてしまってる気がした。とはいえ、繰り返し聴いてるうちに既にほとんど気にならなくなっているのだけど。


M3.テレフォンNo.1




4月のプリティツーマンで初めて聴いたと思うのですが、可愛くてポップで眩しいくらいに明るくて、ちょっと戸惑った。
でも”ピポパポパピプペピポパポ”ってフレーズは強力なフックになっているし、電話番号途中までしか教えてあげないっていうAメロの小悪魔感は内田さんにハマってるし、音源で改めて聴いても、色んな人に胸を張って聴かせられる完成度の高いポップソングになっていて、古参ぶって文句を言う気にはとてもなれなかった。
MVが公開されたときも、TLで今までそこまで興味がなさそうだった人も引っかかっていて、明るい曲ってすごいなぁ届くんだなぁと思った。

そして久保ミツロウさんのこのツイートに激しく頷いた。


”ほんとは電話苦手なの でもまってるの、電話してね”

わたしも電話苦手なので。なのにかかってこないかなって待ってた時とかあったな。かかってこなかったけどね☆

この曲で特に好きなのは、”おまじないしとこ、アブラカタブラブー”って恥ずかしいくらい可愛い歌詞のあと、照れ隠しするようにリズムが緩んでギターソロが入るところです。


M4.パニック!パニック!パニック!

カシオペアやテレフォンNo.1とは逆方向に新しい曲。
4月のライブでは仮タイトル「カオス」と呼んでいて、その通り混沌としたパンクな感じの曲ですが、内田さんと卓丸くんのソフトな声が乗るとちゃんとふくろうずになるということに感激しました。これから更に方向性が変わっていったとしてもわたしはふくろうずを好きで居続けられるんだろうなと、自信が持てた。笑

YOU DON'T KNOW!って繰り返しのフレーズだったり、石井ちゃん活躍しまくりだったり、ライブで本領発揮するんだろうな。
でも、浮きそうなギリギリのこの曲があることでアルバムの強度が上がって、寿命がすごく延びたと思う。


M5.S・O・S・O・S

80'Sちっくなアレンジが最高。イントロのグルーヴ感が大好きで、毎回テンション上がるし、間奏は岡村ちゃんを思い出すダサさ(褒め言葉ですもちろん)で、愛くるしい。”S・O・S・O・S”と囁く内田さんの声がずるくって、ライブでの見所のひとつになると思います。

これも初めて聴いた時はポップだなー!って思った記憶があるのですが、それからできる曲できる曲どれもポップなのでこのアルバムの中では結構箸休め的な位置になってるのが、良い悪いじゃなくなんだかすごいなぁと。なんとなくだけど2ndAL「ごめんね」あたりの雰囲気を感じて、この軽くてつかみどころのない感じもふくろうずらしさなんだなと再認識しました。

あと、内田さんの詞で特に好きだなぁって思うのは哲学的な一節が多かったのだけど、サビのSOSってところを実際なんて言ってるのか分からない歌い方をしていて、今思えば響きを重視した詞も多いんだなと気付きました。
「テレフォンNo.1」のピポパポ~もそうだし、「グッドナイトイズカミング」のサビはスキャット的だし、繰り返しのフレーズも効果的に使っているし、「サタデーナイト」では”ぽっかりハートの”って歌詞カードには書いてあるのに何て言ってるか分からないくらい変わってたり。
刺さって抜けないような鋭いフレーズも書けるのに、意味にとらわれない音楽的な詞も書けて、内田万里恐るべし、と改めて。


M6.春の惑星

メロディも詞もアレンジも割と素直なのが珍しい感じのミディアムバラード。
でもその分内田さんの歌の良さが解りやすくて、気持ち良いです。”ねぇ大丈夫、わかってる、大丈夫”の大丈夫じゃなさが素晴らしい。

正直この曲を聴く度に1番で物足りなさを感じるんですが、大サビが終わってアウトロになる頃にはそんなこと遠い昔のことのように充実感に満ちてる、毎回。それは、”好きだった人の面影はどこ あー今は泣くもんか”ってグッとくるフレーズからどんどん展開していって豪華にコーラスも入って(と思ったけどクレジットに書いてないってことは自分たちでやったの…?)、ドラマチック!なんだけど、重くなく、わざとらしくない。実は4分ちょっとに収まっている曲だというのが、今時間を確認してびっくりしました。それでくどくないんだなぁ。


M7.見つめてほしい

歌い出しは”絶望も希望もループするのもうやめた”って、1stアルバムのタイトル曲であり初期の名曲「ループする」を好きなファンにはドキッとするフレーズから。

ふくろうず流のポジティブさというか、前作「砂漠の流刑地」に通ずるヤケクソ感。サビだけ聴くと可愛らしいラブソングに見せかけて、全力で逆走してる感じがめちゃくちゃ好みです。好きな詞を書き出そうとしたら全部になっちゃいそう。

強いて言うなら、”必然も偶然も出会っちゃえば意味ないじゃん”が二番では”終わっちゃえば意味ないじゃん”に変わるところのセンスがすごいなーというのと、そこから”おんなじだもうやめた””もうやめるの、やめたんだ”への展開というか盛り上げ方というか壊れ方がね、素晴らしい。そしてギターの残響のまま一瞬落ち着いてまた一気に盛り上がる緩急の付け方もたまりません。切り裂いてよ、ギター!

どんどん変わってきているふくろうずからこれまでのファンへのメッセージソングなんだろうか。内田さんがそういうことをするイメージはあまりないけど、ファンの要望(卓丸にもっと歌わせろ、とか)はなるべく取り入れる、と言っていたので意外と客観的に作っているのかなぁ。意図的にしろ偶然にしろ、一気に開けたあたらしいふくろうずのアルバムのラストにこんな、過去を切り捨てる勢いと切実さで”今だけを見つめてほしい”と言われたら、むしろ喜んでついていくしかないじゃないか。いつまでも見つめさせていただきます。



ということで、なんだか同じようなことばかり言ってますが。ポップ!
2ndAL『ごめんね』で好きになったわたし。3rdAL『砂漠の流刑地』を初めて聴いて、一曲目の『もんしろ』の勢いに驚いて、売れに来たなぁ!と、変化の寂しさより嬉しさが勝って頬が緩んだことをよく覚えている。外に向いているのに暗さもしっかり残っていたし。ライブやインタビューからも心境の変化がよく伝わったし。
でもこんなに良いアルバムなのにブレイクはしなかった。

多作だったはずのふくろうずが今回のリリースまで2年もかかったのは、前作が期待ほど売れなかったからというのもあるらしい。メジャーレーベルは大変だ。
でも、前回の比じゃない変化率で、誰にでも届くレベルの「J-POPバンド」となって新譜を届けてくれた今、多くの人に自信を持って勧めたい、こんな良いバンドがあるんだよって自慢したい、彼らの覚悟を広めたい、そんな使命感と、きっと重要なターニングポイントになるという確信で、胸が高鳴る。

個人的な好みで言うと、『ループする』の孤独感や、『砂漠の流刑地』のヤケクソ感の方が好きだ、と思う。でももはやそんなことはどうでも良い!マスに向かって行ったところで内田さんが天才なことも楽曲のクオリティもわたしがふくろうずを好きなことも変わらないことがこのアルバムで分かった。
どうかふくろうずの良さと内田万里の才能をたくさんの人に気付いてもらえますように。打倒ねごと。打倒赤い公園。笑


でも、単にポップに振りきれただけでなく、打ち込みだったり効果音いっぱい入れたりパンクだったり、7曲26分のミニアルバムでありながらふくろうずの振れ幅がかなり広がったのではないかと思います。
前述したように『見つめてほしい』は前作の雰囲気が色濃く残っているし、『カシオペア』や『テレフォンNo.1』のような曲でも必ずしもポップに迎合したわけではなくて、故意にしろコントロール不能な個性にしろひねくれた部分は色濃く残っているから、以前からのファンも安心して変化を受け入れられている。
それでいてこの短さなのに緩急がついてまとまりもあって、一周の満足感は元よりリピート再生にも余裕で耐えられるアルバムになっているわけで、初めて聴く人に打ってつけなのです。だから今日もわたしはふくろうずが好きだー!って叫んじゃうんだ。(twitterとかで)



そしてワンマンライブ。
『ふくろうずの内弁慶ツアー ~パピプペピンポイントNo.1ver~』 at LIQUIDROOM















ベルの音と共に電話のイラストが投影された幕が開くと、揃いのドットの衣装に身を包み、カラフルで安っぽいヘッドホンを着けたメンバーが登場。いいねいいね。

観たのは4月の対バンぶりで、その間の評判を聞いてものすごく期待していましたが、ほんと、びっくりした。
まずね、一曲目から調子が良いの。笑 いつも最初はそんなに調子が上がらず後半どんどん良くなっていくパターンで、特に内田さんは喉が開くまで時間がかかる印象があって、それも愛おしく思っていたのですが。今回は序盤に新譜からのポップな曲が続くセットリストだったというのもあり、とてもパワフル。パワフル?ふくろうずにそんな言葉を使う日が来ようとは。

一曲目『テレフォンNo.1』の間奏では受話器に向かって「もしもし?トーキョー!カムバック!」と叫ぶ内田さん。既に最高潮。客席もunitでのワンマン(良いライブだったけど客性が異様に大人しかった)が何だったんだと思うほど盛り上がってる。

『春の惑星』での石井ちゃんのギターが良すぎた。石井ちゃん。2年前のワンマンでは棒立ちでギターを弾く姿が印象的すぎた石井ちゃん。いつの間にバンドにとってこんなに大きな存在になっていたんだろう?笑顔で楽しそうに、メガネを振り落としそうになりながら演奏していたのがすごく嬉しくなりました。
以前のインタビューで内田さんが、石井ちゃんが楽しそうに演奏するかどうかが曲を判断するバロメーターだと言っていたのが、こういうことかと実感するライブだった。楽曲の幅が広がっても変わらずに石井ちゃんのギターが鳴っている限りふくろうずのアイデンティティは保たれていて、ネガティブな意味で「ふくろうずは変わった」と言われることはないんだろうと思う。

『通り雨』、前にライブで聴いた記憶が全然ないんだけど(笑)、音源と全然違う印象ですごく好きになった。湿度が上がっていて曲の世界にすっと入れた。新曲群が明るいので孤独感も際立ち、ライブ映えする曲になっていたと思います。

『サタデーナイト』は好きすぎて何も言えないけど、演ってくれてありがとう。
『ループする』は、他のメンバーをはけさせて、内田さんのソロ名義「うんこマン」で、キーボード弾き語り。リズムを崩して文字通り語るように歌ってくれたので、メロディの良さが際立つだけでなく詞の悲しさもずっと増して、聴いていてつらくなるほどに沁みました。元々特別好きなこの二曲は涙腺が緩んだ。

そしてはけていた3人が光るサングラスをつけて戻ってきて!新曲『GINGA GO』。まさかのテクノ…!卓丸はヴォコーダーでずっと「ギンガ・ゴー」って言ってる。
『パニック!』を聴いて”更に方向性が変わっていったとしてもわたしはふくろうずを好きで居続けられるんだろうなと、自信が持てた”とさっき書いたのが揺らぐレベルでびっくりして、なんかもうネタかマジか判断しかねる感じでしたが、楽しく踊らせていただきました。卓丸はもはやベースも弾いてなかったけど(あれ、後半弾いたっけ…?)、石井ちゃんは変わらずギターを掻き鳴らしていることに安心したりして。
うん、やっぱりふくろうずの中核を成すのは、内田さんの歌声と石井ちゃんのギターなのかも。

『だめな人』は、お決まりのハンドクラップが広い客席からも自発的に起きて嬉しい!そしてこれまたお決まりの卓丸の煽りなんですが、フェイントかけてて笑った。以前よりずっと堂々と前へ出て腰を振っていて、とても気持ち悪くて、こんなところで卓丸の成長を感じるとは。笑 この曲の盛り上がりがライブバンドとしての進化を裏付けていて、なんだか感慨深かったです。

もうひとつの新曲『マーヴェラス』は覚えられなかった…けどこれも打ち込み系でびっくり。『GINGA GO』よりはこれまでのふくろうずに沿った感じだったかな。これからも楽しみだー。


全体的にね、本当に、成長を感じたライブだった。
特に内田さんは、ヴォーカリストとして、フロントマンとして自覚的になって、今までも天然で十分凄かったのに、もはやどんなに大きなステージでも観客を魅了できるくらいの魅力を放っていた。それは立ち振る舞いも、表情も、歌い方も。
自分自身が楽しむと同時に、お客さんを楽しませること、お客さんに見られることをとても意識していたように思う。可愛い人が自分が可愛いことを自覚したときの最強っぷりったらないや。ステージ上のことだから嫌味もなく、とてもカッコよかったです。心底嫌そうに歌っていたあの頃とは別人のようで。みんなに観てほしいよー!

元々人前どころか人と関わることすら苦手そうな3人が、『砂漠の流刑地』のワンマンからライブに力を入れるようになって変わったと思っていたのが、今回そんな義務感じゃなくもっとはっきりした覚悟と自信を持っているように見えた。吹っ切れたら楽しめるようになったんだろう、もしくは、意識して自分たちも楽しもうとしたのかも。そういう諸々のパワーがステージから伝わってきて、この日の盛り上がりに繋がったんだろうと思います。
ふくろうず、覚醒!
感動的なほど、嬉しくって楽しいライブでした。















SET LIST
1.テレフォン No.1
2.カシオペア
3.パニック!パニック!パニック!
4.S・O・S・O・S
5.春の惑星
6.通り雨
7.サタデーナイト
8.ループする(弾き語り)
9.新曲 GINGA GO(仮)
10.グッドナイトイズカミング
11.トゥーファー
12.だめな人
13.GOOD MORNING SONG
14.見つめてほしい
ENC1.新曲 マーヴェラス(仮)
ENC2.砂漠の流刑地
ENC3.街はいつも雨のよう

アーティストとアートに関わる人




映画「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」を観ました。ドキュメンタリーの第二弾だそうで、前作が結構評判良かったよう。


映画の主人公は老夫婦。公務員をしていた二人はアートが好きで、若いころから趣味で現代アート作品を収集してきた。条件は、給料で買える値段であることと、1LDKのアパートに収まるサイズであること。いつしか収集した作品数は2000点を越え、一点も売却することなくナショナル・ギャラリーに寄贈した。…というところまでが前作だったようです。(今調べた)

今作は、あまりに膨大な数でナショナル・ギャラリーでも収蔵することができない、しかも数年の間に作品数が倍に増えた…ということで、全米50州からひとつの州につきひとつの美術館で50館を選び、それぞれ50作品ずつ寄贈するプロジェクトが計画され、コレクションが散っていく様子と、ふたりのコレクションが終わる時を追った作品。

最初に言うべきこととして、ちょっと寝ました。淡々としたドキュメンタリーだから仕方ない…興味はあったのに頭がついて行かず、しばらくうとうとしていたので夢と映画が混じって中盤覚えてないです。
でも、現代アートにまつわるお話としても、夫婦の物語としても楽しめました。

美術作品のコレクターと言うとおカネが大きく絡んでくる感じがしますが、この二人は、CDだとか本だとか洋服だとか雑貨だとか、純粋に好きなものを所有したいという誰もが持つ欲の対象が現代アートだったという感じ。小さなアパートに数千点の作品なんて、聞いただけでは想像がつかないけど、特にお気に入りのものは壁一面に飾って、立体作品はそのまま天上に吊るしたりして飾り、その他の作品(大部分は紙の作品)は、本棚やベッドの下いっぱいに押し込められている状態。一方で、数点のお気に入り…もしくは画材の性質によって?は、布をかけて日焼けしないような配慮もしている。ただただ好きなものと生活しているというのが伝わってきた。

そうかと言って、アーティストにとってはベッド下に収納されたりするのは複雑な気分もするだろうが、この夫婦、特に自らも絵を書いていた夫のハーブは確かな審美眼を持っており、アーティスト達ととても仲が良さそうなのが印象的だった。現代アーティストなんてそうそう評価されないだろうから、収納方法がどうあれ、見つけてもらえる、購入してもらえるというのは嬉しいことなんだろうなぁ。
そういった世界からは縁遠いわたしからすると、作品を個人で購入するなんて勿体ない、まとめて美術館で観られるようにして欲しいとつい考えてしまうが、ドキュメンタリーの中で美術館の人も「美術館はコレクターの寄贈で成立する」「コレクションのコレクションが美術館」と言っていて納得した。購入資金を持つ美術館なんてごくわずかなようだ。

幾つか取り上げられていた作品も印象的だった。ひとつは正方形の絵で、ヴィヴィッドな青地に小さな丸と三角が緑色で描かれた作品。連作になっているが、丸と三角の場所が違うだけで、一枚一枚の印象は変わらないし、小中学生でも描ける類の作品。でも、連続で観ると、丸と三角が画の中を移動しているようだと解説されていて、確かにシンプルなのにリズミカルな素晴らしい作品に見えてくる。
違うものでは、薄い水彩絵の具を白い紙に適当に落としただけのような作品があった。これも連作で、落書きや試し書きのように見えるが、美しい色彩が花開いたようだと言われると、そう感じる。この作品は作者が実際に寄贈された美術館を訪れて、展示の仕方を指示している様子が取材されていた。横に並べて、目線の少し上に展示して欲しいとのことで、床から何メートル何センチの高さかまで指示していた。

逆に、異なる作者のある作品は、上下左右が決められておらず、展示する人に委ねるというのも面白かったし、もっと驚いたものでは、英単語を壁に描く作品で、指定された英単語を展示する側の人が自由に壁に描くことで完成するというものや、弟子のような画家を雇って、気に入った作品があると自分のサインを入れて発表するというアーティストも紹介されていた。
現代アートに限ったことではないけれど、作者が存命の場合は展示方法まで監修できるので、より”正しい”状態で観ることができることはとても嬉しい。逆に、描くこと自体から展示方法、解釈の仕方など、人に委ねることで完成したり、それも含めて作品であるというものも楽しい。

夫婦の物語としては、二人が信頼・尊敬し合っている様子に憧れました。現代的な、お互いに自立した夫婦関係にも憧れがあるけれど、二人でひとつの趣味をずっと続けていくというのは、ひとつの理想の夫婦像を見た感じがする。依存でも、独立でもなく、共に生きることに強力で明確な意味があるお二人。映画の最後もきれいでした。例えばこれが小説だったら、きれいにまとめてつまらないなと感じるだろう。人生のラストシーンをこんなに美しく飾れたら、と思う。この映画の後の生活がエンドロールになるか続編になるかはわからないけれど。



そして、その翌日に行ったのが国立新美術館で開催されていた「アーティスト・ファイル2013」。アーティスト・ファイルは、国内外の注目すべき作家を紹介する展示。国立新美術館で毎年開催されており、過去2回ほど行ったのかな、好きな企画です。

この企画の好きなところは、まず絵画や写真や立体、インスタレーションなどジャンルレスなところ、アーティストごとのブースが分けられており、個展のように落ち着いて観れること、各作家の分量が少なすぎず多すぎずなので、ある程度そのアーティストやアイデアを理解できること、現代の作家なので、本人立ち会いのもと展示されていることです。
それに、現代のアーティスト特有なものなのかどうか分かりませんが、コンセプトが面白いものが多いんだよね。技術的なことはわからなくても楽しめる。

今年は8名の展示でしたが、気に入ったのは、ヂョン・ヨンドゥ、國安孝昌、ダレン・アーモンド。


ヂョン・ヨンドゥは一番最初のブースだったのですが、まず派手な衣装を着た少女の後ろから美しい光の差す写真が目に入りました。
こどもの描いた絵を写真で再現するという作品群で、写真なのにファンタジック。野外で撮影されたもののほうがより違和感が素敵だった。
不思議な色遣いの服は手作りだし、小物なんかもいびつだから、例えば照明器具のようなものもサイズがバラバラなのを再現して作ってあるし、大人が見ただけでは何とは分からない物体もなるべく再現されているし。一枚の写真に掛けた時間が想像されるのも面白かった。

ヂョン・ヨンドゥは映像作品もあって、こちらも面白かった。画面の右側では、韓国人の老人が昔の印象的な記憶について語っている。5分前後かな。左側では、スタジオで作業服を着た人が何やら作業をしていて、植物や建物などセットを組み立てている。老人が話し終わる頃に、想い出のシーンがスタジオに再現されているというもの。こちらは写真とは逆に、現実の話を再現したセットがファンタジックで絵本の世界のようなのが面白い。それから、老人の話はインタビュー形式ではなく一方的に語る形で、ツッコミが入らないのが逆に批評的というか小馬鹿にしているような感じがするなと気付いて面白かった。話しぶりから自尊心や自己愛が伺えたり、話を誇張しているんだろうなと思ったり。



國安孝昌は、部屋に入った瞬間の威圧感、重量感がものすごくて圧倒された。陶のブロックと丸太が組まれた巨大な作品。部屋の中いっぱいに作られている異物感がおもしろい。前の部屋が白いシーツで制作された作品だったので、ギャップの大きさも良い効果になっていた。

ダレン・アーモンドの作品は、病床の祖母を見舞った際にインスピレーションを受けたというインスタレーション。穏やかな音楽の流れる暗い部屋で、ドレスアップしてダンスをする若い男女の足元を映し出す映像が浮かび上がり、その向かいにそれを眺める作者の祖母のまなざしの映像、周りには新婚旅行先の風車や噴水の映像が配置されている。インスタレーションなので説明では伝えづらいけど、永遠に踊り続ける男女が何とも切なく美しかった。想い出というのは楽しいものほど悲哀性も強くなる。まぁ、言葉にしてしまうと大したことでもないのだけど、五感で360°から感じると素晴らしい体験となるのだ。


同じくダレン・アーモンドの作品で、月の光だけを使って撮影された風景写真も美しかった。写真のことはよくわからないのだけど露光時間?を長くして撮るので、一部が滑らかにぼやけていて最初は絵画かと思った。光の感じも風景の輪郭も幻想的でした。

ということで、勝手に今年のキーワードは”現実の中のファンタジー”でした。他の作品でもそういう側面があったし。以前観に行った時も、トレンドというほどではないけど共通性を見出して楽しんでいたのだけど、忘れちゃったなぁ。

残念ながら4/1で終わってしまったのですが、会期は長めだし誰でも楽しめると思うので、来年開催された際は是非。おすすめです。



リンク

・『ハーブ&ドロシー  ふたりからの贈り物』
 http://www.herbanddorothy.com/jp/

・アーティスト・ファイル2013―現代の作家たち
 http://artistfile2013.nact.jp/

片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2013』展
 http://www.cinra.net/column/artistfile2013/01.php


グリコのライブ

3/14は『 みんなに笑顔を届けたい LIVE!2013 supported by Glico』に行ってきました。CMのやつ。

という豪華メンツ!
一番好きなのは郁子ちゃんだけど全体的なメンツでは1日目が好みかなぁと考えていたけど、2日目に行ってきました。結果、こっちで良かったなぁと思いました。TERUと山崎まさよしなんて普段観る機会ないもん!

会場着くとパッと見一番多いのはGLAYファンでびびりました。こんなに統一感ないイベントもなかなかない。二組×3でコラボする、後日CMになるっていうのは事前に聞いていたけど、なぜかひとりひとり&コラボ一組ごとにトークの時間もあって、その結果ひとり1、2曲→コラボ1曲ずつ→全員でCM用1曲という、なかなか不思議なイベントでした。転換の待ち時間なかったのは良いけど…トークもほぼ飲み話だったし…うん。
でもそのマイナス分が完全に打ち消されるくらい楽しかったなぁ!

TERUは「HOWEVER」のサビ歌ってくれたし、山崎まさよしは「セロリ」歌ってくれたし、優しい。小学生くらいの時に聴いてた曲だもんな、あの頃はライブに行くなんて習慣も発想もなかったし、生で聴く日が来るなんて本当に感激しました。別に期待してたわけじゃなかったんだけどね、実際生歌聴いちゃうとうわぁー!って興奮するものですね。日本人のほとんどが知っている曲を持っているってすごいことだ。二人のトークもあまり聞く機会がないので新鮮で楽しめました。TERUが顔の向きを変えるたびに手を振るファンの皆様も新鮮だった。あとTERUさんが意外と天然ていうか…一種のファンサービスなんだろうか…イメージと違った(笑)
そしてこの二人のコラボなんてファンじゃなくても貴重ですよ。何歌うのかなぁ、知ってる曲だといいなぁと思っていると二人共おもむろにサングラスをかけてアコギを持って腰掛け、歌い出したのは井上陽水「リバーサイドホテル」(笑)しかも全力でモノマネ。競うようにモノマネ。山崎まさよしの方が上手い(モノマネが)。スターの無駄遣いです。真面目にやって欲しかった気持ちも捨て切れませんが面白かったです。


ポリは曲も聴いたことなかったけどすごく良かったしトークも面白かった。フェスとかで機会があったら是非観たい感じ。ムッシュかまやつがポリの格好して一緒にやるっていう貴重なものも観れた(笑)

郁子ちゃんは「銀河」と、主催イベント用に大宮エリーが作詞した曲をやってくれました。「銀河」は大好きな曲で勿論良かったけど、軽い感じのアレンジにしてたので求めてた感動は薄かったかな(笑) それで二曲目がとっても良くて。エリーさんが書いたのが作詞って感じじゃなくて長い文章で、それを基にしたそうなんだけど、そのことが言葉がそのまま入ってくるっていうのと郁子ちゃんの歌声の魅力が解りやすいという良い結果をもたらしていました。普段はちゃんとメロディに合った歌詞が好きなんだけどね、これは良かった。今後どこかで聴けるのかなぁ。「変わろうと決めた瞬間から変わり始めてる」ってサビだったかなぁ?その前のトークで変わるとか言って全然変われてないよねうちら~ってくだりもあったのでちょっと情けない感じもありつつ、途中で「何やってんだろうね」ってエリーさんに話しかける感じも素敵で、泣きそうになっちゃった。
レキシはいつものことながらトークから絶好調で、あ、トークの時間があって良かったなと思った(笑) お客さんの心掴みすぎ。歓声もTERUの次に大きくてびっくり。演奏したのはwith東インド貿易会社マンで「きらきら武士」。 いつも通り楽しかった。

郁子ちゃんとレキシのコラボは「狩りから稲作へ」。これがめちゃめちゃ感動しました。ふざけた歌詞に反して元々エモい曲ではあるのですが、郁子ちゃんのコーラスが入ることで別次元に良かった。コーラスをメインボーカルに向いてる癖のある歌声の人がやることってなかなかないと思うのだけど、癖のありまくる郁子ちゃんがやることでお互いを引き立てる効果がすごかった。個性的だけど柔らかい声だから主旋律を食っちゃうようなこともないんだよね。主旋律の周りで遊んでるような声。FISHMANS七尾旅人と歌った「Rollin' Rollin'」を思い出しました。あーほんとに大好きな声。これが聴けてほんとに行ってよかったと思った。でももっと長くやって欲しかったよー!レキシのライブ観たことある人は分かると思いますが、この曲コール&レスポンスでふざけるから下手すると30分くらいやってて、今回は持ち時間短いから2番カットしちゃってて。そのくせにとちゅうで池ちゃんの手品始まったりして。あ、あと二人共キーボード奏者なのでどうするのかなと思ってたけど二人共キーボードでした。これも普段の池ちゃんの感じに郁子が絡むような雰囲気で、素敵でした。


あとは吉高由里子超かわいかったです。顔ちっさくてさ。やっぱり気取らずに友達といるようなノリで冗談言っちゃうところが好きだなぁ。ミュージシャンばかりということで、「今日はわたしはギターをやります」って真顔で嘘ついたかと思うと、「こんな短い指でできないよ」「(指切りの真似しながら)約束もできないっ」って言ってたのが小悪魔可愛かった。アリーナー!とかやってみたかったとか言って一通りやったあと、「AKBの吉高由里子です。いつもは一番後ろの方で踊ってるんですけど」って言ってた。

統一感なさすぎるメンツにひやひやしてましたが、終わってみれば終始あったかい雰囲気で良い感じでした。TERUファンの人なんか特に他の人たち誰だよって感じもあっただろうに、全然冷めた空気にならず、レキシのキャッツポーズもみんなやってて、GLAYの好感度上がったよー!無理に押してくるような人もいなかったし。お客さんが良いと本当に気持ちが良いね。
あと帰りにグリコさんのお菓子をたくさんもらいまして、今日その中に入ってた毎日ビテツって鉄分補給のグレープフルーツジュース飲んだら美味しかったの。また飲みたいなーと思ってググったけどママ用らしくて赤ちゃん専門店とかドラッグストアに売ってるらしい…コンビニにあったらそこそこ需要あると思うんだけどな。鉄分摂りたいよ。

cero 『My Lost City』リリースツアーファイナル

2/3はceroの『My Lost City』リリースツアーファイナル@渋谷クラブクアトロ
だったんですが、この間の大晦日にWWWのカウントダウンワンマンがあって、その時に『My Lost City』全曲曲順通り、しかもVJつきって素敵なライブを観てしまったから期待感とかちょっと薄れちゃってたんだよね。もちろん観れば楽しいのは分かってるから超楽しみだったけど。
だからニューアルバムの曲も(そもそも発売前にライブでやってた曲が多かったけど)全部聴いた状態でのリリース記念ワンマンってことになったんですが、今までで一番良かったかもってくらいの満足感。

後で気付いたけど、『マイ・ロスト・シティー』以外はアルバム曲順通りで、その間に前作『WORLD RECORD』の曲が入ってくるっていう構成。地続きの物語のような二枚のアルバムの曲を並列で聴けて、それがすごく自然に入ってきたっていうのが新鮮な体験だった。

『水平線のバラード』はWWWで聴いた時とかなり変わったと思うけどこれはあの時シラフさんが風邪引いててトランペット吹けなかったからっていうのもあるのかな。シラフさん大変だったそうでお気の毒だけど、ちょっとお得感。
『船上パーティー』の時間が止まるところは片想いのイッシーとオラリーが出てきて、音源で「つまらないわね」「気が合いますね」の台詞部分を担当していた二人なのでわざわざやりに来てくれたんだな~と思って観てたら、台詞はいつも通り高城くんと翼くんで二人は寸劇だけで笑った。そして片岡さんも加わってチャンバラ?みたいな?笑
曲の世界観通りのはずなのにふざけてるようにしか見えないという。からのオラリーちゃん豆まきで反撃!節分ネタどこかであるかなーと思ったけどここで一気にやるとは笑
でも静止してなきゃいけないはずなのに普通に笑っちゃってる高城くんが好きです。

何曲かサポートでサックスとフルートが入って、CDに近い世界観で演奏してみる、とのことでしたがこれがまたよかったなー。確かに音の感じは音源に近い雰囲気になるけど、アレンジは変わってるしライブ感もあるしかなり新鮮に聴けました。わたしは音を聞き分けるの得意じゃないからパートが増えるとよくわかんなくなっちゃうことが多いけど、音数が増えてもそれぞれ独立しつつバランス良く引き立てあっているから、聴いててとっても楽しかった。

でもやっぱり嬉しかったのが『ワールドレコード』『入曽』『outdoors』『あののか』あたりの曲を久々に聴けたこと!特にワールドレコードはかなりアレンジ変えててびっくりしたし、これがすごく良かった。髙城くんの歌い回しも変えてたし。
新譜のリリースツアーなのに、おまけで昔の曲ってわけじゃなくて、同列で大事にしてるんだなというのが伝わって来ました。

『入曽』『outdoors』『あののか』は、CDの流れで聴くことが多かったから雰囲気の良い曲ってイメージでいたけど、今回改めて聴いて、メロディが綺麗で歌モノとして良い曲だなぁと思った。
だから入曽~スマイル~outdoorsの流れとか、roof~あののかの流れとか、すごく自然で良かったです。『スマイル』とか曲名がストレートなのもあってceroっぽくない曲だなとか思ってたんですけど、あーこっちの流れだったのかって。
大停電の夜に』は途中から真っ暗になって、シラフさんが点滅するライトで客席に向かって照らしてたんだけど、あの少しのライトですごく人のぬくもりとか生活の営みを感じるから不思議だ。夜の中央線を思い出したりして。

途中シラフさんが唐突に「あ、今日物販あるんでよろしくお願いします、3000円です。」って言って真顔で使い古しの白い温泉タオルみたいなの見せてたのは笑った笑 関係ないけどクラウドナインの手拍子のとことCTCのしっとりめのところでシラフさんの顔が面白すぎて吹いた。サポートメンバーがあんだけ魂入れて演奏してくれてるのは本当に幸せなことだ。

あだ麗のツイてる教の話をしていたら荒内くんが使ってたタオルに「happy lifeって書いてある…!」って見つけて「そういう時どう言うんだっけ?」「…ツイてる…!」って流れも笑った。百姓もしてるBIOMANがecocolo的なロハス的な雑誌に「農業・バイト・音楽」とか言って載ってたって荒内くんが馬鹿にしてて面白かった。兄のオオルタイチはかっこいいのになんであんなに目が細いんだとか言ってたら高城くんに「あなたも目細い方でしょ」って突っ込まれて更に目が小さい翼くんが凹んでたりとか。

MCいつもぐだぐだしながらも笑えて好きなんだけど、髙城くんが年明けにツアー周ってく中で仙台も訪れてそこで見た海がすごく綺麗だったのが印象的で、そういう感じで今年を始められて良かった、というようなことも話してて、楽しく自由に音楽をやりながらも震災のことを真摯に考えている感じはこれからの時代を担う者らしいなぁとか思いました。

というわけで、このライブでは色んな表情を持つceroの全体像が初めて見えてきた感じがした。『WORLD RECORD』のレコ発の時も完成されていたけど、その時のceroからは随分変わってきた部分もあるだろうし、一昨年のクリスマスワンマンでも沢山の曲を聴けたけどあの時は二部構成で、単純な静と動の二面性として見ていたから。

静と動ってだけじゃなくて、日常とファンタジーとか、パーティー感と孤独とか、楽観と悲観とか、そういうののブレンド具合が一曲一曲違っているし、もちろん音楽のジャンルも混ざっているから、曲のバリエーションの豊富さを再確認すると同時に、共通性も見えたような。見えたというほどはっきりはしていないけど、言語化しにくいレベルでじんわり感じました。あぁ、ceroってこういう感じかぁ、そうだなぁ、と。いや、むしろ言葉にできることを感じ取るよりよほどすごいのかもしれない。アルバムは何度も聴いているのに、ライブで提示されて新鮮さと共に受け取れるというのは、すごくしあわせです。


髙城くんもこう言っている。
ライブ直後は『good life』と、できれば『武蔵野クルーズエキゾチカ』も聴きたかったなぁと思ったけど、振り返ってみるとコンセプトからは外れるのは承知でラスト武蔵野で盛り上げる、なんてことがなくてむしろ良かったんだと思いました。美意識を感じるライブ。(と言いつつ、WORLD RECORDのレコ発の時は武蔵野やってて、アルバム曲しか知らなかったわたしはびっくりしたけど。)

そういえば、WWWで観るceroがとても好きで、一昨年のワンマンでのVJもすごく良かったので、特に演出のできなさそうなクアトロに決まったときちょっとテンション下がったんだけど、そんなことすっかり忘れていた。二列目で観れたのもあってメンバーの動きを見ながら夢中で楽しんだ。音自体もそうだし、楽器を持ち替えたり、ちょっとした振り付けを入れてみたり、本当にわくわくする演奏をしてくれるバンドだ。
じわじわと知名度も上がってきて、まさかのCDJでも満員・大好評だったみたいで、まだまだ会場が大きくなっていくんだろうけど、楽しみでしかたない。どんな曲を聴かせてくれるんだろう。大きいステージをどう使ってくれるんだろう。
ただ、たまーにWWWに戻って来てくれれば大満足だけど。
早くまた観たいなー。



セットリスト

1.水平線のバラード
2.マウンテン・マウンテン
3.cloud nine

4.ワールドレコード
5.大洪水時代
6.船上パーティー
7.exotic penguin night
8.入曽
9.スマイル
10.outdoors
11.21世紀の日照りの都に雨が降る
12.マイ・ロスト・シティー
13.Contemporary Tokyo Cruise
14.roof
15.あののか
16.さん!

en.
17.大停電の夜に
18.わたしのすがた