2016年のSMAP、12月31日の中居正広

SMAPファンにとって、とても辛い2016年が終わりました。今年はもっと良いことがあると信じ、いや、穏やかに過ごせるだけでも良いですが…あけましておめでとうございます。

 

中居正広のSome girl' SMAP』最終回

大晦日の中居さんのラジオ、聞きましたか?

思い出すだけで辛いですが、興味のある方は文字ではなく音源を探して聞いてみてください。私はリアルタイムで聞いていましたが、もう一度聞き直す気分にもなれないので、ここから触れることは人の書き起こしを参考にしつつ、勝手に要約したりもしてます。

 

1月から、中居さんも他のSMAPのメンバーも、公開謝罪と解散コメントを除き、ほぼ一連の報道に言及することはありませんでした。どんなに醜聞を重ねられても、メンバーは何も言い訳しなかったし、ファンは週刊誌よりも28年間見てきたメンバーの言動や人柄を信じました。(一括りにするのは乱暴ですが、私がTwitterで見るコアなファンはそういう人が多かったです)

それから、彼らが何も言わないことをささやかな希望にもしてきました。もし自ら解散を選んだのだとしたら、森くんのときや稲垣さんのときや草彅さんのときのように、自分で説明してくれるはずです。もし事務所の都合でやむを得ず解散することになったとしても、どうしようも出来ないのならそれはそれでファンが納得できるように説明してくれるのではないかと。だから、何も言わないのは次の一手があるからではないかと。

とにかく、どう見てもメンバーが望んだようには見えないからこそ、少しでも形勢を逆転するための力になれればと、ファンは様々な活動をしてきたわけです。メンバーを動かしたかったわけではなく、メンバーが動きやすい環境を作りたかった。

 

でも中居さんのラジオを聞いて、それどころじゃなかったんだなと思ってしまった。

いつも自分の役割をしっかりこなす中居さんが、
「神様は僕にこの31日という今日の日をどういう意味で与えてくれたのかな」
「なんで31日なんだろう」
と話すことをためらう様子を見せた。

準備野郎で若いときから先を見越して行動してきた中居さんが、
「デリケートな時期、敏感な時期が続いて、丁寧にしないといけないとあまりにも考えると麻痺して、鈍感になっていった」
「僕は今年1年の自分の言動・行動、あるいは決断、決して全てが正しいなんて全然思ってないんですよね。間違えたりする瞬間とか不正解だった場面とか、う~ん…僕はきっとあると思ってるんですよ。」
「今年44歳なんですが、今まで習ったことのない1年だったんですね。」
と弱さを見せた。

メンバーとSMAPを愛しながら、表立って褒めることは多くない中居さんが、
「誰も悪くないんですよね」
と繰り返した後、
「来年はそっとしてあげたい」
「メンバーは今年一年よく頑張りました、踏ん張りました。しっかり最後までSMAPを務めたと思います」
「労いとかお褒めの言葉をあげてほしい」
と気遣った。

ファンにも天邪鬼な中居さんが、ファンの様々な活動やハガキに対して
「いつもみたいに重いとかうっぜーとか言えなかった」
「期待に応えられなくて申し訳ない」
「ありがとうでいっぱいです。純粋に受け取りました」
と素直に話した。

 

言えないことだらけなのは分かっているけど、話せる範囲で本当に誠実に話してくれたのが分かりました。そして、幾多の困難を乗り越えてきたSMAPにもどうにもできないことが起きたのだなと理解しました。中居さんなら、SMAPなら大逆転できるはずだと期待したことが申し訳なく感じました。彼らは絶対にファンを責めたりしないけど。彼らを信じたことは間違ってなかったと思うけど。でも…

「どうしようも出来ないのならそれはそれでファンに説明するのでは?」という考えもきっと間違っていました。いや、彼らがどの時点まで存続の希望を持っていたかは知り得ないけど。彼らは、問題を表面上落ち着かせるよりも、嘘をつかないこと、誰の悪口も言わないことを選んだ。それがきっと「SMAPを務める」ということだったのだ。

 

一度解散することはやむを得なくても、次の契約更新時に独立して再結成することはできるんじゃないか、という望みもありました。でも、中居さんや木村さんや草彅さんが口々に「これからのことは分からない、考えていない」と言っていて、それは良くも悪くも解釈できる言葉だけど、少なくとも現時点では再結成の展望もないんだろうと受け取りました。それにしても、メンバー自身、SMAPじゃなくなる未来なんて考えたこともなかったんだろうな。

 

そしてラジオの最後、中居さんは「好きに締めさせていただきます。曲紹介もしません」と言って、子供のような明るい声でメンバーの名前を叫びました。

「しんごー!!つよしー!!ごろー!!きむらー!!すまっぷー!!じゃねー!ばいばーい!」

中居さんはテレビでは何年もメンバーをこんな呼び方はしていません。名字にさん付け。これは年相応に、というのと、スマスマ等でゲストが疎外感を感じないように、ということらしいですが、裏では今もこの呼び方だったようです。だからこれはタレント・中居正広ではなく、中居正広個人として叫んだものであり、更には私信でもなく、自分の想いに無理やり区切りをつけているように聞こえました。

 

そして、流れた最後の曲は正式に音源化されていない*1SMAP』。デビュー曲『Can't Stop-LOVING-』よりも前、人の言葉を借りるなら「SMAPSMAPだけのものだった」時の曲で、初めてもらったオリジナル曲だったようです。

芸能界でどんなに出世しても、SMAPとメンバーを愛する気持ちはこの頃からずっと変わらないんだなというのが痛いほど伝わったラジオで、辛くて。

 

私は以前、SMAPマイケル・ジャクソンと同じにはしたくないと書きました。

ayapiii.hatenablog.com

 根拠もなく人を陥れるマスコミには絶対に流されない、馬鹿にされたとしても反論し続けるんだという決意は揺らがなかった。でも、この時私はSMAPのこれからの音楽活動やデビュー25周年、スマスマの20周年に関することが阻害されること、自分が楽しみにしていた未来が消されたことに対して怒っていました。受け入れられなかった。SMAPがいない世の中のことは何も想像できていなかった。私はSMAP結成と同じ1988年生まれ、SMAPのいない世界を経験したことがありません。

 

今私が辛いのは、私や世間からSMAPを奪われたことではなく、中居正広からSMAPを奪われたことです。10代の頃からSMAPが好きだ、メンバーが好きだと言い、アイドルは20代で引退するのが当然だった頃からずっとSMAPを続けていくために先を見据えて行動し、努力を惜しまず、SMAPのためなら自分が嫌われることも恐れず、実績も人望もある中居さんの夢が叶わない世界で、一体何を信じられるんだろう。

 

でも、中居さんがあんなに辛そうにメンバーとSMAPに別れを言った今、私も一度区切りをつけなきゃなと思ったのです。何の力にもなれないけど、私も去年1年頑張った。踏ん張った。疲れた。これからも応援していくし、このままでは終われないという熱い気持ちもあるけど、きっと先は長いから。今考えていることを一度書いておこうとこのブログを書き始めたのですが、もう2800字使ってしまった(笑)

 

2016年のSMAPのこと

この1年、根拠も示さずに4:1の構図だけは一貫して矛盾しまくりの記事を量産した週刊誌やスポーツ紙やネットニュース、それらをそのまま垂れ流したワイドショーを除くと、Twitterでは偶然メンバーに遭遇した一般人や一緒に仕事した経験のある人が思い出を語り、雑誌では直接取材してきた記者が彼らへの想いを語ってくれた。その内容はどれも、芸能人らしからぬフラットさと優しさがありながら、一流のプロフェッショナルでもあるという、私の尊敬するSMAPそのものでした。

そして、彼ら自身は、どんなに中傷されても何も言い訳せずに普段通り仕事をし続けていました。草彅さんは1月の解散報道翌日に予定通り生放送に出演したし、稲垣さんは舞台でファンの前に立って話し普段通りの姿を見せてくれたし、中居さんは解散発表前後に毎日生放送でオリンピックキャスターを務めたし、香取さんは毎週SmaSTATION!!での生放送とおじゃMAPでのロケをこなしたし、木村さんは矢面に立ってラジオで自らへの批判を読み上げ受け止めてくれた。

辛く悔しいことばかりだったけど、彼らのことは1年前よりずっと好きになっている。

 

週刊誌やネットニュースはたくさんチェックしました。最初はその中に少しでも信じるに値する情報を見つけようとしたけど、そんなものはなかったので、彼らへの誹謗中傷にいかに矛盾点が多いかということや、そういう記事に関して世間はどういう反応をしているかというところを見ていました。

それで思ったのは、自分の興味のあるものでなければ一つひとつの情報を精査することなく話のネタ程度に扱う人が多いんだろうなということと、結局自分の信じたいものを信じるんだなということ。もっと正確に言うと、自分のイメージに合うものを人は信じる。

だからCMやドラマでイメージする「いつも格好つけていていけ好かない」キムタクが4人を裏切って、「子供の頃から芸能界で大人になりきれない」香取がそれを嫌ったというストーリーを信じる人が多く居たのでしょう。ファンは「少年漫画の主人公のように仲間やスタッフ思いで真っ直ぐな」木村拓哉が私利私欲のためにSMAPを蔑ろにすることはないし、「誰よりもSMAPが好きで木村拓哉を慕っており、常にファンを喜ばせることを考えていてどんな仕事もプロとしてこなしてきた」香取慎吾木村拓哉を嫌って仕事を拒否することなどありえないと考える一方で。

…そもそも、仲良しグループではなく尊敬し合って緊張感を持って仕事をしてきた、メンバーほぼ40代のSMAPが、意見が異なったからといって嫌いになるとか、それでまともに収録できなくなるとか、幼稚な理由で仕事を放り出して周りに迷惑をかけまくって解散するとか、全てがありえないのですが。

話が逸れましたが、イメージに沿ったものを信じるということは同じでも、そのイメージに根拠があるのはファンの方だと思うのです。それが事実だというつもりはないですが、28年間もの言動に沿っているのですから、そうそう小手先の嘘で誤魔化せるものでもありません。

 

 ということで、これまで信憑性が低い情報は安易にRTしたり信じたりしない、憶測と事実を混ぜたりしないことを心がけてきましたが、今日はちょっと可能性としてあるかなと思っていることを含めて無責任に書いておこうかなと。色々聞いた上で個人的に納得のいくように組み立てただけなので、これをソースに何か言うのはくれぐれもやめてくださいね。ずるいこと言うけど。

 

私がSMAPを好きな理由は、そのままジャニーズ事務所SMAPを嫌う理由だったんだろうなと思います。それは個性を重視したバラバラなダンスだったり、下手なのに心に響く歌だったり、事務所に禁じられても仲間を思って森くんや稲垣さんの名前を出す自由さだったり、年齢を重ねても新たな魅力を打ち出せるしぶとさだったり。

 

更に、彼らは歌や自分の言葉で伝える力が非常に強いからこそ、この1年それらを奪われたんだろうなと思っています。2015〜2016年の年末年始、彼らは普通に仕事をして、普通に歌っていたし、むしろ普段より楽しそうで良い雰囲気でした。それが解散報道及び公開謝罪以降ガラリと変わりました。スマスマの収録はファンの観覧を入れなくなりましたし、ビストロ内のコーナーは単調なクイズばかりになりましたし、歌ゲストとのトークはなくなりましたし、自分たちの歌を歌うことはありませんでした*2

 

メンバー間にトラブルがあったことを原因とすると、解散報道より前からそうなっていたはずですし、そんな理由で仕事に支障をきたす人たちには思えません。逆に、メンバー間にトラブルがある時こそ、所属事務所はそれを隠すように仲の良いところを積極的に演出して見せるのが本来のあり方です。更に、報道が出た頃には独立問題は収束していたと話すスポーツ紙の記者もいました。

なので、ジャニーズ事務所側がSMAPの素の姿やメンバー同士話す姿をファンや視聴者に見せたくなかったと考える方が自然だと思っています。なぜなら彼らに問題がないことが分かってしまうから。公開謝罪で一言ずつ喋るだけで、それが本音でないことをありありと伝えてしまったから。噂レベルですが、スマスマのスタッフに圧力がかかり、5人だけの企画や彼らが仲良く見える編集をすることができなくなったという話も耳にしました。

 

公開謝罪以降、彼らが生放送に出演したのも、持ち歌を歌った*3のも、3月に放送されたNHKの明日へコンサート一度だけです。ずっと不仲報道やバッシングが続いていた彼らですが、生放送のオープニングで5人くっついて話し、老若男女の観客の前で『オリジナルスマイル』『この瞬間、きっと夢じゃない』『世界に一つだけの花』の3曲を披露するだけで、やっぱりSMAPはすごい、もう大丈夫だと思わせるような力がありました。

だからこそ夏の歌番組では一転して出演辞退することになり、解散発表もスマスマ最終回も彼ら自身の言葉で話す機会を与えられなかったんだろうと思います。スマスマ最終回の終盤、オルゴールをBGMにスライドショーになった部分は、生放送できるようにスタッフは準備しSMAPも当日フジテレビに集まっていたにも関わらず、事務所の人間に阻止されて叶わなかったという話も聞きました。これはスタッフ側からも出待ちのファン側からも情報が出ているので、本当なんじゃないかと思っています。

 

それでも疑問は残ります。生放送を持っている香取さんや、フリートークの時間が多い中居さんは、ファンのために不仲説だけでも否定できなかったのかなということ、各メンバーのラジオ、特にメンバーについて話すコーナーのある稲垣さんのラジオで、一番仲の良いはずの木村さんの話がほとんど出なかったこと。何らかのわだかまりがあったとしてもいくらでも隠すことが出来るはずなのに、あえて触れないようにしているようにも感じました。また、そもそも自ら望むとは思えない解散という決断をせざるを得ない状況とは、どういうものだったのかということ。木村さんや中居さんのラジオでの話しぶりから、今年の契約更新で改めて独立できるような状況でもなさそうなこと。

これらの疑問が一気に解決する噂を先日Twitterで目にしました。いやほんと、信憑性とかなくて申し訳ないのですが。元マネージャーの退社後、SMAPと同じく担当していた後輩グループを潰さないことを条件に解散を受け入れたらしいというものです。自分たちが怒られたり干されたりするのではなく、後輩に影響が及ぶとしたら、彼らが慎重になり事務所のストーリーに従わざるを得ないことに納得がいきます。

後輩グループにはあまり詳しくないですが、確かに飯島派と言われていたキスマイは変わらないペースで仕事ができているようでしたし、Sexy Zoneはむしろ露出が増えたようにも感じていました。結局マネージャーではなくSMAPが嫌いだったのかなと捉えていましたし、そうかもしれないですが。

 繰り返しになりますがこれは伝聞や噂を元にしたただの憶測です。何の価値もありません。でも一方的に報道されている不仲解散よりはマシなシナリオな気がします。ただ、もしそうだとすると、事務所の権力者の身に何かある以外に今の状況から抜け出せないし、更には飼い殺し状態に悪化する可能性だってあるんですよね。想像しただけで気持ち悪くなってきます…。

 

私はジャニーズ事務所が心底嫌いだ。後輩たちは嫌いじゃないし悪くないのも分かっているけど、後輩がたくさん出て仲良さそうにしている番組は今はちょっと観れない。2016年、ジャニーズ事務所とフジテレビがSMAPを巻き込んで心中し、テレビを中心としたエンターテインメントは死んだんだ。長年冠番組を放送してきたフジテレビとは縁が切れました。早くジャニーズ事務所との縁も切れるように願ってやみません。エンターテインメントの新時代を作るのもまた、SMAPであってほしいのです。

 

★以下、1/6追記

個人的な気持ちを吐き出すように、勢いで書いた記事ですが、SMAPファンでない人も含め、思いの外たくさんの方に読んでいただきました。あえて説明不足のままにした部分もあったのですが、ちょっと補足します。

 

最後の仮説を主張したくて書いた記事に読めるかもしれませんが、そのような意図はありません。おまけのようなものです。何も考えずに書き進めた結果、締め方が雑になってしまい反省しています。

この1年、過剰に報道される一方ではっきり事実と言える情報はほとんどなく、ただ振り回されまいと耐えてきました。でも12/31を区切りとして、耐えるゴールも見失い長期戦に突入しました。考えても結論が出ないことを分かっていても考えてしまうのは人間の性でしょうか。辻褄を合わせるにはピースが足りず、もやもやだけが蓄積された状態でした。

相手の気持ちがはっきりとわからないのはとても辛いことで、コミュニケーション不全の状態が続くと信用が揺らぎます。私は弱い人間なので。ここに書いたことはただの可能性の一つで、私自身これを信じる、といったものではありません。でも、このままだともやもやが暴走していずれメンバーを疑うことになりそうで怖かった。ひとつの可能性として、私の知るSMAPと齟齬が生じない、比較的筋道の通ったストーリーを頭の隅に置いておくだけでも、うまく息が吸える気がしたのです。

あえて“人は結局自分の信じたいものを信じる”という言い方をしましたが、不仲報道を信じないことについては、ファンだから受け入れられない、信じたくないといったことではなく、きちんと理由があります。所属事務所が公式文書やコメントで事務所は悪くない、タレントの我が儘だと主張し、タレントのイメージを守ろうとしないことが異常だからです。所属事務所と関係が深いと言われているスポーツ紙や週刊誌が息を合わせたように不仲を報じることも、違和感を強くしました。また、この件以外でも、FC会員への不誠実な対応や、ファンから集めた東日本大震災義援金の会計報告をしていない*4ことなど、一般企業ではありえないことが多く、一切信用できない事務所だと考えています。このことを前提に、真逆のところに真実があるのだろうと違うストーリーを考えてきましたが、ファンとそうでない人では、認識に大きな隔たりがあるかもしれません。

 

以上、今更ですが、ファンでない人への補足説明でした。今は早く5人に平穏が戻り、障害なく個人仕事ができることを祈っています。

*1:『Can't Stop-LOVING-』のカップリングにメドレーの一部として収録されているのと、リミックスアルバム『BOO』に『SMAP #2』として収録されているので聴くことはできます

*2:元々持ち歌を歌うことは多くありませんでしたが、仮にも昨年はアニバーサリーイヤーでした

*3:スマスマ最終回を除く

*4:SMAPがスマスマで毎週支援を呼びかけていた東日本復興支援財団は、SMAP孫正義氏、王貞治氏と共に発起人となった組織で、ジャニーズ事務所Marching Jとは別です。

私のSMAPベスト50曲(2)2001〜2016

ベストアルバム『SMAP 25 YEARS』にちなんで、私の選ぶSMAPベスト50曲。後編は2001年から。 

前編はこちらです。  

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ジャズ・フュージョンの有名ミュージシャンを起用してアイドルらしくないかっこよさの曲を連発していた90年代から一転、コンサートを意識したバラエティ豊かな楽曲になっていきます。

世界に一つだけの花』をきっかけにシングルではメッセージソング系が多くなり私の好みからは離れるのですが、アルバムでは色んなテイストの曲が聴けてとても面白いです。楽曲の幅と共に彼ら自身のイメージを拡張し続けてきました。

2013年頃からは「いい曲」から抜け出して攻めた楽曲が多く、これまでの集大成とも言える新たなSMAPらしさを確立しています。

 

2001~2005

Theme of 015 2002
アルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』収録

SMAPのアルバムにはほぼ必ず「Theme of ○○」と題されたインストやそれに準ずる曲が収録されています。アルバムとコンサートのコンセプトになる、本人の歌唱はないけど欠かせない存在です。

ビッグバンドやストリングスを使ったもの、エレクトロにクラシックと多彩で、『007~Gold Singer~』では豪華海外ミュージシャンによるJames Bondのテーマのカバー、『011 ス』ではNile Rodgers提供、『super. modern. artistic. performance』ではBlack Eyed Peasのwill.i.am提供などどれもすごいのですが、一番好きなのは思いっきりコンサートを意識して作られているこの曲だったり。

「S・M・A・P・SMAP!」と言っているだけでこんなに楽しい気分になるなんて最高。よく頭のなかでかかってる(笑)コンサートのOPではこの曲でSTARWARS風の殺陣を披露していたんですが、陽気な曲とのギャップがクールで大好きです。

 

FIVE RESPECT  2002
アルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』収録 

アルバム曲ながらめちゃイケの企画やMステなどで何度も披露されてファンじゃなくても知っている人が多い、メンバー紹介曲。N.マッピーこと中居正広作詞作曲です。 

Drink! Smap!』のアルバムとツアーは稲垣さんの不祥事の後の復帰作なのですが、そのタイミングでこういう曲を作るリーダーの愛と決意。稲垣さんの紹介で

「おかえり ハリキリ ゴロー!」

というのが、優しさが詰まっていて好きです。

中居さんの紹介では

「あいつは30!」

と言われているのが時代というか、SMAPがアイドルの道を拓いてきたのを感じます。

 

世界に一つだけの花 2003
35thシングル

言わなくて良いことを言いますが、ほんとはあんまり好きじゃないのです。でも、今年3月の『明日へコンサート』で、この曲で福島の会場の老若男女がひとつになっているのを観て、素直に良いなと思った。

それから、今年1月からのファンの購買運動。わたしは最初『華麗なる逆襲』の方が曲もかっこいいしメッセージもわかりやすいし良いのでは?と思っていました。それに、300万枚なんて現実的ではないと。でも、毎週のようにチャートに入るこの優しいタイトルを見ると、悔しさを隣に置いて、真っ直ぐに愛情を届けようとするファンはとても健全で素晴らしいなと思うようになりました。そして、もうすぐ300万枚に届きそうです。

 

Touch Me Kiss Me 2003
アルバム『SMAP 016/MIJ』収録

木村さんと稲垣さんのユニット曲。前編で挙げた『Possession Possession』も二人の歌の対比が好きだけど、あれがロックだったのに対してこちらはフェミニンなポップスで、違った良さがあります。歌い方は全然違うけれど元々の声質は結構近いと思っていて、ファルセットを使ったサビのユニゾンもすごく綺麗なのです。 

プライベートでも一緒に遊んだり仲の良い二人が、飛行機の中で振付確認しような、とコンサート直前のラジオ中に約束していたエピソードも好き。

 

たてながの自由 2003
アルバム『SMAP 016/MIJ』収録

ORIGINAL LOVE田島貴男さん作曲。SMAPでは珍しいくらいのロック調ではあるんだけど、ピアノとホーンが印象的なアレンジ。SMAPは自由さが魅力だとよく言われているけど、「自由であること」というより「自由を求め続ける姿」がSMAPらしいなと最近思う。この曲はライブの演出もとても好きで、ミュージカル『Les Misérables』のフランス革命みたいだなぁと思っています。

 

トイレットペッパーマン 2003
アルバム『SMAP 016/MIJ』収録

中居正広ソロはもちろん本人作詞作曲。歌っている内容は「コンサートで自分のソロの時にトイレに行ってんじゃねぇ」というくだらないものなんですが、分かりやすい盛り上がりどころがたくさんあるのがさすが、楽しい。ロックだけど途中でバラードが入るのが中居流…というかヒャダインみたい。スマスマで5人で披露した時もみんなネジ飛ばして楽しそうで最高。是非探してみて。

 

BANG! BANG! バカンス! 2005
37thシングル

この曲も中身はないのに聴くたび好きになる、宮藤官九郎さん作詞曲。昨年のFNSうたの夏祭りで、ほとんどSMAPファンのいないはずの会場がこの曲のイントロでワッと湧き、「バカ~バカ~バカ~」という合いの手も揃っていたのがとても嬉しくて忘れられません。

最新のライブでも歌うパートを奪い合ったりして楽しそうに歌っていて、アイドルらしいところが観れる曲。

「さあ写真は基本Vサイン」

で集まってVサインをする5人を観るだけで、どうしてこんなに嬉しい気持ちになるんだろうなぁ。

 

Dawn 2005
アルバム『SAMPLE BANG!』収録

バラードでは一番じゃないかと思うくらい、文句なしの名曲。曲名のDawn=夜明けの通り、詞もメロディもとても暗いんだけど一筋の光が射すような曲。

「きらめきに僕らはそう優しく包まれて  絶望も暗闇も越えてゆく」 

『オリジナルスマイル』が上から引っ張り上げてくれる曲だとしたら、こちらは大きな手でそっと支えてくれるみたいな曲です。

 

2006~2010

星空の下で 2006
アルバム『Pop Up! SMAP』収録

ラップとお喋りとバラードの間みたいで、すごく難しそうなんだけど5人それぞれの良さが出ています。常々良いアイドルは良い役者でもあると思っているのですが、こういう切ない曲を感情込めて表現できるSMAPの皆さんはやっぱりずっと役者業もやってきた人たちだなと思う。特に中居さんが細かいニュアンスを表現していて好き。 

 

STAY 2006
アルバム『SMAP 016/MIJ』収録

前編の冒頭でも触れたように、投票1位で、ファンとおそらくSMAPも大切にしている曲。歌詞に注目が集まるのは当然なんですが、実はメロディの良さを大事にしている曲でもあって、押韻が気持ち良いです。私は母の付き合いで行ったコンサートでの日替わり曲で初めてこれを知ったんですが、意味は知らずになんてかっこいい曲があるんだろうと思って、すぐ収録アルバムを探しました。今は聴くと涙ぐんでしまうけど、わたしにとってはかっこいい曲。

 

この瞬間、きっと夢じゃない 2008
43thシングル

00年代に多かったメッセージソングの中で一番好き。 

「僕らはいつだって一人じゃないんだよ」

という使い古されてきたストレートなフレーズこそ、歌える人は限られていると思う。

草彅さんの不祥事のときにファンの間で購買運動が起きて、それを受けて復帰のスマスマでSMAPが歌ったのがこの曲だそう。その曲を、8月の解散発表直後に収録されたスマスマ特別編で、草彅さんは元気が出る曲でたまに聴いていると紹介しています。

「歩き出した僕らの未来ならこれから先僕らで変えるから

どんなときも諦めず ただ進むよ」

下手だから一生懸命やるしかないと口々に言い、何度披露してもしっかりと感情を込めて歌う彼らの真剣さが言葉数が多い曲にマッチして、すっとメッセージが入ってくるんだと思います。

 

Style 2008
アルバム『super.modern.artistic.performance』収録

木村拓哉ソロ。木村さんのソロはロックもポップスも良曲ばかりなのですが、好きなのはダントツでこれ。久保田利伸さん提供のR&B。グルーヴィーでルーズな雰囲気の曲なんだけど、詞は自分らしく生きる強い信念を歌っていて、勘違いされやすいけどいつも真面目で眩しすぎるほど正しい、木村さんそのものみたいな曲。

ダンスもSMAPの時とは違うかっこよさがあって、もしかしたら木村さんのイメージが変わるくらいの曲なので、是非動画で観て欲しいです。

 

We are SMAP! 2010
アルバム『We are SMAP!』収録

この収録アルバムはサカナクション相対性理論電気グルーヴ中田ヤスタカが参加していたので聴いてみたのですが、一番気に入ったのがこの曲でした。久石譲さんによる豪華なオーケストラアレンジのバラードに乗るのは、太田光さんのとてもとても優しくて美しい詞。

「歩こうか。怖くても、口笛を吹いて。 

優しさは才能と、キミを見たから知った。」

Michael JacksonのHeal the Worldみたいな曲だと思っています。

 

2011~2016

Moment 2012
48thシングル

 サカナクションの山口一郎さん提供曲。当時はSMAPはまだファンではなくてサカナクションが好きだったので、提供曲がオリンピックのテーマ曲になるなんてびっくりしたし、スマスマで好きなバンドがSMAPと共演するなんてと感激して泣きそうになったのをよく覚えています。 

SMAPが楽曲の方向性を若干迷ってたっぽい時期なので、もう少し後だったらもっとサカナクション色の強いアレンジになっていただろうなと少し残念に思うのですが、これはこれで爽やかなポップスに徹していて良い曲。改めて詞を見ると1番と2番が好対照になっているし、大サビではあえてメロディにハマらない言葉を詰め込むことで切実さが出ていて感動的。

アスリート感とサカナクション感が強くて私の中ではあまりSMAPと重ならないのだけど、 

「嘘もついてきたけれど」

を中居さんが歌うところになんだかリアリティがあって好きです。

 

gift 2012
アルバム『GIFT of SMAP』収録

麻生哲郎さん作詞、菅野よう子さん作曲、CHOKKAKUさん編曲の、SMAPには珍しい直球ラブソング。軽やかなストリングスに乗って高めのキーで優しく歌われる、大人のアイドルソングです。

「こっち振り向いて笑った君を見つけて分かった gift gift ありのまんまの君が」

「大事な時は向き合って  不安な時は寄り添って」

「嬉しい日も一緒に 寂しい日も一緒に」

と、男性に言われたい思われたい言葉が詰まっているのですが、20枚目のアルバム『GIFT of SMAP』のリード曲ですから、確実にSMAPとファンの意味も入っているのです。愛されてる。

 

前に! 2012
アルバム『GIFT of SMAP』収録

この曲を意識しているのか前からなのか分からないけど、木村さんはよく「前に」という言葉を使う。SMAPみんなそうだけど、木村さんは特に意識的に、過去を振り返らないようにしている感じがする。

「前に 前に いつでも 前に 前に

空の彼方 僕らもっともっと飛べるよ」

「巡る明日に流されないよう 僕たちは未来をつかまえに行くんだ」

歩くテンポでしっかりと歌われるメッセージ。彼らの愚直さを感じて泣きそうになる。

この曲をコンサートで披露する時、木村さんがイントロでいつも言っていた台詞はこうだ。

「この先どんなことがあっても、俺らSMAPと一緒に、前に、前に!」

 

CRAZY FIVE 2012
アルバム『GIFT of SMAP』収録

FIVE RESPECT』に続く、中居正広作詞作曲のメンバー紹介曲。ひとりひとり紹介された後で全員が揃ったサビのかっこよさは、メンバー自身が「(自分はともかく)SMAPはかっこいい」と心から信じていないと成立しないと思うのです。

「過ちを犯し続けそれでも信じてた」

というパートを草彅さんに歌わせる、痛々しいまでの生真面目さが、彼らへの信頼に繋がっている。

「くじけそうでも拳を上げろ皆が迷わぬように」

ずっとそんな存在でいてほしい。

 

Joy!! 2013
50thシングル

赤い公園津野米咲さん提供、菅野よう子さん編曲。アラフォーの彼らだから歌える、第2の『オリジナルスマイル』。 

「無駄なことを一緒にしようよ」

「どうにかなるさ人生は 明るい歌でも歌っていくのさ Joy!! Joy!!

あの頃の僕らに 今夜だけでもいいから朝まで Joy!! Joy!!」

人生の理不尽さも知った上でポジティブに生きる、大人のお祭りソングです。記念すべき50枚目にこんな良い曲をリリース出来るのって、素晴らしい。聴く度に津野さんに感謝しちゃう。

 

Mr.S -SAITEI DE SAIKOU NO OTOKO- 2014
アルバム『Mr.S』収録

Joy!!とは真逆ですが、こちらも年齢を重ねた彼らだから歌える、ゴージャスなミュージカル曲。アルバムのリード曲で、「ShyでStraight」「紳士で少年」などと、謎が多くて魅力的な、最低で最高の“Mr.S”を描いていく詞が面白い。

細かくソロパートが入れ替わり、サビの途中でもソロが入るんだけど、ユニゾンに戻るところがとても気持ち良くて、SMAPというグループの魅力そのものみたいな曲です。

 

藍色のGANG 2014
アルバム『Mr.S』収録

草彅剛ソロは、TRICERATOPS提供の、ロックンロール曲。藍色はもちろん彼の大好きなデニムのこと。草彅さんの歌い方はフラットでありながら天然でロックなかっこよさがある上に、緊張して必死になるほどにセクシーさを増すからすごい。「ベイビー」とか「ギャング」とかカタカナで歌っているのにすごくかっこいいんです。昔のソロ曲も好きなのがあって迷ったんですが、本人の歌の良さが一番出てるのはこれかなと思います。

 

DaDaDaDa 2014
アルバム『Mr.S』収録

さかいゆうさん提供の、稲垣さんと草彅さん、通称「ロハス」のユニット曲。“アクが強い”3人が抜けたロハスの曲は一気に渋谷系の爽やかな風が吹いて、好みのものが多いです。これはtofubeats系のディスコチューン。ワルさが全く感じられない爽やかラップが良いです。

「4つ打ちの魔法に身を委ねて」

って好きに決まってますよね。このアルバムで一番よく聴きました。

 

好きよ 2014
アルバム『Mr.S』収録

ゲスの極み乙女川谷絵音さん提供の、女性目線のバラード。とてもシンプルなんだけど、ギターの音色がきゅんと切ない。

この曲のすごいところは歌割り。一番のメロは全部香取さん、サビは稲垣さん、二番のメロが草彅さんでサビは木村さん、Cメロは4人がワンフレーズずつ逆の順番で歌って大サビの中居さんに渡すというもの。SMAPの強みであるユニゾンを封印して、個々の歌声の魅力がたっぷり味わえる曲です。改めてびっくりするほどバラバラの声質と歌い方で、でもみんな優しくて、それぞれ好きだなぁと実感します。中居さんは病気の影響なのかちょっと枯れ気味ですが、最後をリーダーに託すところにグループの強さが出ている気がしてとても好きです。

 

華麗なる逆襲 2015
54thシングル

椎名林檎さん提供曲。編曲も椎名林檎さんといつもお仕事されている村田陽一さんなんですが、今調べると『Fly』のホーンアレンジをした方でもあるんですね、すごい。『Fly』と近い世界観を持った曲なのです。曲のかっこよさはとにかく聴いてくれという感じなのですが、逆襲という不穏なタイトルでありながら詞は

「毎度あり!ようこそ!毎度いらっしゃいませ くらくらしようぜ皆の衆

どんな逆境だってたのしんでしまえさあ 面白おかしく  俺は勝ち逃げするよ」

とユーモアがあって余裕たっぷりで、このバランス感覚がお洒落。

振り付けは宝塚をやっている方だそうですが、ジャケットを脱ぎ着したりネクタイを使ったりソロダンスがあったり腰を振ったりお札を撒いたりと盛り沢山で、SMAPまだまだ売れる気なんだなと思いました(笑)これをライブで絶対観たいんだ。 

MVは私が日本で一番好きな映像監督、児玉裕一さんで、シングル通常盤ではこれまた大好きなtofubeatsのリミックスも聴けます。日本のトップクリエイターがSMAPのために集まったシングル、たまりません。

 

ユーモアしちゃうよ 2015
54thシングル

その最高な『華麗なる逆襲』と両A面シングルで対をなすのがバリッバリのアイドルソング、『ユーモアしちゃうよ』。こういうところがSMAPかっこいい!作曲は『オレンジ』『Triangle』の市川喜康さんで、メロディが強力に良いのです。Joy!!の路線で、聴くだけで元気が出てきます。

「その笑顔 笑い声 うまく説明できないけど

痛み悩み苦しME 全部ぶっとんでっちゃうよ」

現役アイドルだなぁ。でもこっちの台詞です。

 

Otherside 2015
55thシングル

MIYAVIさん提供のギターロック。作詞はMETAFIVE/KIMONOSのLeo Imaiさん。ドラムはBOBOさん。

 「Don't forget the chase 分け合う夢 引き上げろ またやろうぜ」

「Othersideへ High Speedで まだ行こうぜ」

 当時はマッドマックスみたいだ!と興奮していたのですが、今聴くと結構すごい詞で、未練がましい私はこの曲で独立していたらさぞかしかっこよかっただろうなぁと思ってしまうのです。

ほぼ英詞で攻撃的な感じの曲だけど、SMAPが歌うとやっぱりポップスで、そしてちゃんと似合う。28年かけてイメージの幅を少しずつ少しずつ拡げてきたことを感じます。

振付とフォーメーションも凝っていて、歌割や演奏と一体となっているのがすごいんです。同時進行で作ったんじゃないかと思うくらい。これも絶対ライブで観たい曲です。

 

愛が止まるまでは 2015
55thシングル

ゲスの極み乙女川谷絵音さん提供曲。偶然だそうですが、デビュー曲「Can't Stop-Loving-」と対比するようなタイトルのこの曲が、最新曲。SMAPには珍しく「I love you」って言いまくっているんだけど、

「最後はもう最後はもう最後は笑えるように 

もう少しだけもう少しだけ かっこつけさせてくれよ」

と単純にラブソングとも言えない切実さがある。

この曲のすごいのが、出て来るメロが全部違うの(笑) A、B、サビ、C、D、サビ、E、E'、落ちサビ、大サビかな?(全然違ったらすみません)すごく贅沢だしポップスで普通はまずやらないと思うのですが、自然に展開していくのは歌う人が入れ替わっていくアイドルだからでもある。

MVはきゃりーぱみゅぱみゅ(『ふりそでーしょん』のMV大好き)などを手掛ける田向潤監督。ギター・ドラム・キーボードのエキストラを数十人使った豪華でシュールなもので、ワインレッドのスーツを着てランニングマシンで走るSMAPがまさに今のSMAPという感じ。エッジの効いたものをどんどん吸収していくSMAPをこれからも観続けたいのです。

  

 

以上で50曲。あれ入ってないじゃん!というのもたくさんあると思いますが、私も同じ気持ちです。泣きながら削りました。迷ったら本家ベストと被らないものにしたりね。 

でもどうしても入れたかったのが2015年のシングル全部(笑)私がファンになったのが2014年なのでリアルタイムで聴けた贔屓目もあるかもしれませんが、25年のキャリアの中でもかなり充実したリリースだったんじゃないかな。もっと聴きたいよー。 

知らない曲があったら『SMAP 25 YEARS』と併せて聴いてもらえると嬉しいです。

 

 

 

 

私のSMAPベスト50曲(1)1991〜2000

 

SMAPのCDデビュー25周年記念ベストアルバム『SMAP 25 YEARS』とMV集『Clip! Smap! コンプリートシングルス』が発売されます。

ベストアルバムは「みんなで決める!みんなのベストアルバム。」ということで、200万近くの投票から上位50曲が収録されます。収録は発売順ですが、ランキングも発表されて、思った以上にファンの想いが反映された順位に驚いています。

 

smap25years.com

 

1位の『STAY』は、以前から人気の曲でしたが、特に今年はファンのテーマソングのようになっていました。2016年が始まってすぐ、毎年恒例のCDTV年越しライブで歌われたこの曲は

「どうか道の途中で手を離そうとしないでよ」

「永遠なんて言わないからさ 5、60年それだけでいい」

という歌詞が印象的なバラード。中居さんが10年前のアルバム曲を選曲したことに、意味がないとは思えませんでした。私の知る限り投票の呼びかけもなかったので、純粋にみんなが選んだ結果この曲が1位になったというのがすごいです。

それから、8位は『チョモランマの唄』。これはライブのジャンクション映像用の短い曲で、未音源化、つまり投票ページに選択肢はなく、自由入力するしかありませんでした。Twitterで呼びかけながら諦めず投票したファンもすごいですが、自由欄を設けて集計してくれたビクターさんもすごい。

「あなたが喜ぶならば僕のテンションチョモランマ」

って変な歌詞ですが、それぞれの人生のことであり、SMAPのことであり、とても元気の出る曲です。

この2曲の順位にはファンの「執念」を感じました(笑)

 

ファン以外には馴染みのない曲も多いですが、シングルに偏りすぎることもなく、マニアックすぎることもなく、結構バランスが取れたアルバムになっていると思います。ファンのセンスを信じて、初めてSMAPのCDを手に取る方が多くいれば良いなぁ。

 

さて本題。

私も50曲選びました。私がSMAPのベストアルバムをプロデュースするならこんな感じ、ということで。代表曲や重要曲も入れつつ、私の大好きなかっこいいアルバム曲をたくさん選びました。年代や曲調も偏りすぎないようにしたつもり。メンバーのソロも1曲ずつ。

 

半分以上書いてから気付いたけど50曲に全部コメントするとすごく長いですね!悪あがきで前後編に分けてみました。

まずは2000年まで。94年〜98年くらいは海外ミュージシャンを起用した素晴らしい演奏がたくさん聴けるので、音楽好きに是非聴いてみてほしい。一応選んだものの、全体のクオリティが高すぎて、とにかく全部聴いて!と元も子もないことを言いたくなります。

 

 

1991〜1995

Can't Stop!!-LOVING- 1991
1stシングル

デビュー曲。急に「きらきら星」が入ってきたり、昔のアイドルソングという感じが強いですが、

「君をしあわせにする僕はここにいるよ」

という詞はSMAPを象徴していると思います。物心ついた頃からずーっとそこにいてくれました。解散報道が出た1月13日、朝は笑って流していましたが事務所のFAXに大きな違和感と不安を感じ、いてもたっても居られず買いに行った曲。


BEST FRIEND 1992
4thシングル『負けるなBaby!〜Never give up』カップリング

SMAP史上最も売れなかった『負けるなBaby!〜Naver give up』のカップリング曲で、2013年のスマスマ5人旅で中居さんが号泣した曲。森くん脱退の時に歌った曲、稲垣さんが復帰した時に歌った曲。SMAP史において外せない、とても優しい曲。


雪が降ってきた(アルバム・バージョン)1992
アルバム『SMAP 004 』収録(6thシングル)

曲調は若いけど、バラードバージョンで昨年末にも歌番組で披露していたり、全く色褪せない、切ない歌詞が素敵。そして、このアルバムバージョンの冒頭、外国人男性の「ワン・ツー・スリー・フォーヒー!」でリズミカルに始まるのが好き。


$10 1993
ベストアルバム『Wool』収録版(10thシングル)

元気で明るいアイドルを脱するきっかけとなった、文句なしにかっこいい曲。森くんの「I WANT YOU,LADY その気にさせるんだ」の歌い方がセクシーで、聴く度に恋に落ちます。元々は林田健司さんのカバーで、森くんが選曲したそうです。


オリジナルスマイル 1994
13thシングル

落ち込んだときは明るい曲が聴けなかったりするものだけど、この曲はそんなレベルを超えたずっと上の方からグイッと引っ張り上げてくれる。

「笑顔抱きしめ悲しみすべて街の中から消してしまえ」

初期の曲なのに、SMAPが“国民的アイドル”として大きな存在になっていったり、震災を経験したり、時が経って披露する度に輝きを増していく不思議な曲だと思います。まだファンになる前に歌番組を観た時にこの曲を聴いて号泣したのを覚えています。


しようよ 1995
ベストアルバム『Wool』収録版(17thシングル)

SMAPで2番目に好きです。かっこよくて切なくて優しくて、完璧。

「今すぐに最初から始めてみよう きっと簡単さ」

「目を見ればわかるなんてちゃんと言わなきゃわからない 君がいなきゃ寂しい」

なんでもないんだけど、身に沁みます。SMAPの詞に出てくる男性像って完璧じゃないんだけどいつも誠実で素敵だ。

平熱なサビからCメロで最高潮に盛り上がって、その後にAメロで落ち着いて終わる構成が天才的にかっこいいです。『Wool』に収録されているバージョンが好きなんですが、神保彰さんのドラムと、サックスソロが完全にアイドル曲のアレンジを逸脱していて笑っちゃうほどかっこいいです。

 

どんないいこと 1995
アルバム『SMAP 008 TACOMAX』収録版(18thシングル)

「空がだんだん曇ってきた 雨が今にも降りそう バスがちょっと遅れてる 時計の針は過ぎてく」

で叙情的に始まる1番が素敵なのですが、2番で

「雨が少し降り出した みんな家路を急いでる 次のバスがやってきて荷物と重たい気持ちが乗った」

で時間経過を表しつつ、最初のメロディが少し変わっているところがめちゃくちゃお洒落だと思います。

Smap Vest』(おそらくシングルも)だと打ち込みらしきドラムがオリジナルアルバム『SMAP 008 TACOMAX』だとオマー・ハキムで、最初の入りが気持ち良くて好きです。『Wool』でもまた少し違うアレンジだったり、90年代のSMAPはこういうところが頭おかしくて楽しいです。特にバージョン違いの説明はないのに。

私もそんなに聞き分けられていませんが、基本的にベストアルバム『Wool』*1と『Cool』は生音のパートが増えていたり演奏が楽しめるものが多くておすすめ。

 

雨がやまない 1995
アルバム『SMAP 007〜Gold Singer』収録

木村さんと森くん2人の曲。サビが掛け合いのようになっていて、“歌えない”SMAPの歌唱担当(昔はこの2人しかソロパートがなかったとか)2人の歌声が堪能できます。初デートなのに雨で計画が台無しになったというひたすら悲しくなる歌詞でちょっと面白いんですが、当時22〜23歳ながら色気たっぷりに世界観を作っています。


俺たちに明日はある 1995
アルバム『SMAP 008 TACOMAX』収録版(19thシングル)

一番好きな曲、というか、人生で初めて好きだと思った記憶のある曲。当時7歳かな、この曲で

「時代遅れのオンボロに乗り込んでいるのさ」

「薔薇の花束が似合うのもいるのさ  だけど似合わない」

と、己の格好悪さを許容して前を向く格好良さを知ったのです。それから20年経って彼らのファンになっているとはびっくりだけど、普通の感覚を持ちながら目の前のことを愚直に取り組む姿を魅力的に思う気持ちは、この曲を聴いたときから変わっていないな。

シングルではギターリフのイントロがアルバムではドラムで始まっていて、どちらも捨てがたいんだけど最後木村さんの「Yeah」は必要なのでアルバムの方で(笑)

 

1996〜2000

胸さわぎを頼むよ 1996
アルバム『SMAP 008 TACOMAX』収録版(20thシングル)

俺たちに明日はある』をなぜ最初に好きになった記憶があるかというと、冠番組のエンディングが新曲のこれに変わった時に嫌だったのを覚えているからです。大人向けの曲でよくわからないなって。アイドルソングなのにね。そして今大人になり、この曲の良さがわかるようになりました。

「恋心は嘆くかい  お互いは別の生き物だね  同じならば惹かれない  Only You 謎だらけで切ない」

別の生き物と一度突き放しておいて、同じならば惹かれないと続くツンデレっぷりが素晴らしいです。当時の彼らは今の私より年下だ。


シャンプー3つ 1996
アルバム『SMAP 009』収録

ちょっと間抜けなシンセにキレッキレのホーン隊にタイトなドラム、「嫌なことがあった日は帰ってシャンプーする」って内容の変な歌詞、これこそアイドルの贅沢。

最後、突然ブラスバンド風のコミカルな間奏が入って、その後また急にロック調に変わって一番盛り上がって終わる、特殊な構成もキマってます。

 

SHAKE 1996
23thシングル

「チョベリベリ最高ヒッピハッピシェイク」

ってサビの曲が20年経っても色褪せていない奇跡。彼らの代表曲は、

「明日は休みだ仕事もない  早起きなんかしなくてもいい  君と昼まで眠れそう」

という、普通の人の、みんなの曲なのだ。

色んな方が出演する歌番組で、SHAKEのイントロが流れた瞬間一気に空気が変わるあの感じが大好きです。

 

ココニイルコト 1997
アルバム『SMAP 011 ス』収録

スガシカオさん提供の、木村さんと香取さんのユニット曲。この二人の曲は『裏スマ』に収録された『ひと駅歩こう』も良いし、意外としっとりとした曲が多くてどれも人気がある。これもフォークっぽい静かな曲で、5人の楽曲では聴けないような優しい歌が際立っているし、大サビで盛り上げるところのギャップも良いです。

 

俺様クレイジーマン 1997
アルバム『SMAP 011 ス』収録

香取さんのソロ曲で一番好きなのがこれ。自身で作詞したラップ曲です。当時20歳かな、勢い重視で若者の叫びみたいな曲なんだけど、色々悩みながらも

「自分の道まっすぐすすめばバカでもいいってわらってやろうぜ」

「かこなんてオレにはない みらいをそうぞうしてニヤついてしまう」

と歌い自虐的に「クレイジーマン」を自称できる香取さんはやっぱり強い人で、徹底的にエンターテイナーだ。そしてやっぱりラップが上手い。高速ラップの最後、

「わらえるっていいことだね なけるっていいことだね 生きてるってオレ…」

と息が続かなくなったNGテイクを使っているのが聞きどころ。


それはただの気分さ 1997
アルバム『SMAP 011 ス』収録

稲垣さんのソロは、自身がファンということで依頼したFISHMANS佐藤伸治さん提供で、演奏もFISHMANS。雰囲気重視のアンニュイな曲で、本家の方が全然ポップだぞと思うくらいなのですが、これが稲垣さんにぴったりなのです。ファルセットで半分くらいは「Uh」とか「Ah」とか言ってるSMAP史上に残る問題作(笑)ですが、

「君が一番疲れた顔が見たい」

って本当に素敵なラブソングだと思います。

この曲をスタジアムコンサートでエレキギター弾きながらやりきる稲垣さんはすごい。


Hi-Fi 1997
アルバム『SMAP 011 ス』収録

「静まり返った夜の街  アンテナ頼りに走り出そう」

という詞の通り、アレンジや歌の雰囲気も夜のお喋りといたずらのようで、SMAPのアルバム曲で一番かっこいいと思っています。

若者らしい(そしてアイドルソングらしさはない)脱力感がありながら、それはしっかりとした計算で作られているんだなということも伝わってくる。ホーンと鍵盤とギターのちょうど良いバランス、全体を締めるドラムとベースが気持ち良いです。それでいて、この曲のキモはサビの「気分はHi-Fi」の「き」の入り方、彼らの歌なのだ。


夜空ノムコウ 1998
27thシングル

大人になってから良さに気付き、以来聴く度に涙が出そうなくらい心に染み渡ってくる曲です。その気持ちは自分の情けなさに依るところが大きく、決して良いものではないのだけど、どうにもならない感情を夜空にふわっと浄化してくれるこの曲の存在にとても救われている。


たいせつ 1998
28thシングル

これも年々好きになる曲。ゴキゲンなコーラスとベースラインに乗せてとびきり明るく歌われるのは

「みんなひとりなんだ不安なんだ愛が支えなんだ」

「たぶん言葉よりも分かり合える 君の眼は宝石」

「真実は人の住む街角にある」

という、半径5mで感じることのできるしっかりと地に足の着いたしあわせであり、大人の2人のたしかな関係。

「誰とも似ていたくないずっと前の僕じゃなくて良かったよ」

という一節は、『世界に一つだけの花』と相反するようで、それを越えた景色にも感じる。


Possession Possession 1998
アルバム『SMAP 012〜VIVA AMIGOS!』収録

SMAPの中で最もファンキーでかっこいい曲のひとつ。ソロパートは稲垣さんと木村さんだけで、アンニュイな稲垣さんのAメロと男らしく色っぽい木村さんのBメロの対比が素晴らしいです。彼らの歌声のギャップがあって成立している曲。アウトロのサックスソロがかっこよすぎて笑っちゃうのでそこだけでも聴いて欲しい!ドラムはオマー・ハキムだよ。


言えばよかった 1998
アルバム『SMAP 012〜VIVA AMIGOS!』収録

ギターもベースもリフがかっこよくて、それが混じり合うことでまたかっこよくて、聴くたびにやけます。間奏の「All I want to say is I love you」ってコーラスを本人ではなくプロが入れている感じがSMAPらしい贅沢さ。ひとつだけ注文するなら中居さんの喉の調子が良い時にレコーディングしてほしかった、ここだけ笑っちゃう(笑)


朝日を見に行こうよ(mellow session take) 1999
アルバム『BIRDMAN〜SMAP 013』収録(29thシングル)

原曲も素敵なのですが、あえてアルバムバージョンを。近年は稲垣さんのミュージカル(ジャズバンドの生演奏でとってもお洒落)も手掛けているジャズピアニストの佐山雅弘さんの編曲で、ジャズに振り切った大胆なアレンジになっています。徐々に盛り上げて感動的に終わったと思ったら、アウトロが1分半ありどんどん軽快に自由になっていくのが楽しい。フェードアウトになっていますが何分でも演奏していてほしい。

 

Fly(higher take)1999
アルバム『BIRDMAN〜SMAP 013』収録(30thシングル)

説明不要、SMAPでかっこいい曲といえばこれ。当時画期的だったギャング映画のようなショートフィルムもかっこいいし、コンサートのオープニングでオープンカーで登場して黒スーツで歌ったのもかっこいいし、50曲メドレーで後ろ向きでせり上がってきて歌ったのもかっこよかった。00年代は“国民的アイドル”の称号でメッセージ性の強い曲を歌うことが多かったけど、こういうダークな世界観がSMAPにはハマる。Flyを踊っているSMAPを観ると、これはきっとダンスが揃っていたら成立しないかっこよさなんだなと思います(笑)


らいおんハート 2000
32thシングル

バラードなのに基本打ち込み?でも洗練されていて安っぽくないし古くもならない、コーラスワークにSMAPらしさも感じる、不思議な曲。恋ではなく愛を描いたこの曲の前後で、大人アイドルとしてのSMAPの地位が確立したイメージがあります。でもリリースした時はまだ20代半ばだったことを思うと、随分早熟だし、方向転換が上手だったんだなぁ。

スタンドマイクでのダンスも大人っぽくて好き。

 

愛の灯〜君とメリークリスマス〜 2000
アルバム『S map〜SMAP 014』収録

冬の曲は少ないですが、これが一番好きです。北川悦吏子さん作詞、キリンジの堀込兄作曲、冨田ラボさん編曲という、異色の最強布陣。

ワクワクするようなイントロに

「今日は手も繋がないちょっと怒ってるのさ  街に出ればどうにかなるなんて僕も甘かったけれど」

の歌い出しだけで、クリスマスの光景が浮かんでくる。サビの変態的で美しいメロディも、突然南国風の陽気なギターが入ってくる間奏も、すごく変なのに素敵にまとまっていて大好き。

 

 

99年くらいから、コンサートのためのアルバムという感じが強くなり、バラエティ豊かになっていきます。それとともに“SMAPらしさ”もどんどん拡がっていってとても面白いです。続きは後編で。

ayapiii.hatenablog.com

 

 

*1:Woolは散々推してるんですが信藤三雄さんのエッジの効いた特殊パッケージ仕様だったので生産終了してますごめんなさい…。レンタルならあると思うのでぜひ。

SMAP解散とマイケル・ジャクソン裁判

最近はTwitterではSMAPの話しかしていませんが、私はマイケル・ジャクソンも大好きです。

と言っても、彼のパフォーマンスのかっこよさを知ったのは亡くなる少し前のことで、本格的に音源を聴き始めたのは亡くなってから。

それまでは、あまり興味がなかったし、なんとなくスキャンダルの多い人というイメージだった。亡くなってからの再評価でどう変わっているか分かりませんが、20代後半以上の人はそういう人が結構多いんじゃないでしょうか。

 

マイケルは2003〜2005年頃、少年への性的虐待など10の罪に問われ、大きく報じられました。しかし、その全てで無罪になっています。

マイケル・ジャクソン裁判」という書籍に裁判の内容が詳しく書かれていますが、“結果的に”無罪だったというだけではなく、マイケルに疑わしいことは何もなく、起訴自体がおかしなことでした。でもそれを知る人は多くありません。

ちなみに、訴訟大国のアメリカで、マイケルは金銭目的で生涯1000回以上訴えられましたが、一度も有罪になっていません。この疑惑も本来その一つに過ぎないはずでした。

 

このスキャンダルが騒ぎになったのは、いくつか理由があります。

マイケルが収益を寄付することを条件に珍しく私生活の撮影を許可したテレビ番組が、マイケルに悪いイメージを与えるような編集をして放送したこと。

1993年に似たような訴訟があった際、マイケル側が仕事を優先するために慰謝料を払い裁判に至らなかったことで、検事であるトム・スネドンが逆恨みをしており、無理に立件したこと。

そしてマスコミがヒートアップして、あることないこと報道したこと。

 

でも無罪になったことはあまり大きく報道されませんでした。スキャンダラスに報じ、マイケルの名誉を傷つけたマスコミは、その謝罪や訂正すら行っていないと思います。

そして、マイケルの死後、そんなことはなかったかのように功績を讃えました。

 

もう一つ、マイケルが肌を漂白していた、白人のようになろうとしたという疑惑があります。

これは尋常性白斑という病気であり、裁判の際や死後の司法解剖によって証明されています。若いころは白斑を黒いファンデーションで隠し、隠しきれなくなって白いファンデーションを塗るようになりました。

顔の整形については本人も認めていますが、これは幼少期に父親の虐待でデカ鼻だと罵られていたことによる精神的な要因や、骨折したことによる手術、CM撮影の際の火傷なども絡んでいると考えられます。肌の病気と相まって白人になりたかったと思われることになったのは、非常に不幸だったと思います。

マイケル・ジャクソンが人種差別に強い憤りを感じており、黒人であることに誇りを持っているのは、作品を観ればすぐに分かることです。

 

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Michael Jackson-Black or white(Panther dance)

Black or Whiteの、明るい曲調で様々な国の人が登場するShort Filmは観たことがある人も多いと思いますが、これには続きがあります。パンサーパートと呼ばれる無音でのマイケルのソロダンスで人種差別への怒りを表しており、差別主義団体の名前や差別用語の落書きが出てきます。効果音のみでのダンスは中居さんをはじめ色んなアーティストが真似していると思います。

 

最近のSMAPに関する報道を見ていると、マイケルのことを思い出します。

私が彼らを好きな理由は色々ありますが、共通しているのは「スターであることに自覚的」だということです。

それはコンサートでの自己演出の上手さや、積極的な慈善活動に現れています。ただそれは自己評価が高かったり驕ってはいるのとは違い、実際には謙虚で努力家の方達です。

 

しかし、これには落とし穴があり、マイケル・ジャクソンが多くの人に誤解されたのは、自己演出が上手いがゆえに本当の彼を知る人が少なかったからではないかと考えています。

SMAPに関してはバラエティなどで素の部分もかなり見せてきたと思いますが、それでもグループや個人へのイメージは固定化されているように感じます。特に、木村拓哉へのバッシングは、CMやドラマでしか知らない人による、間違ったイメージによるものです。

 

そしてメディアはお金になれば根拠の無いことを平気で報じます。一度であれば誰もが嘘じゃないかと疑うようなことも、イメージの上に積み重なることで真実は見えなくなっていきます。今回はジャニーズ事務所自体がリークしていると思われるので特に厄介です。でも私の知る限り、今流れている不仲説はどれも「関係者」による信憑性のないものや矛盾しているもの、映像やエピソードの一部を切り取ったものばかりです。

 

40代のグループの解散理由が「不仲」だなんて、笑いそうになりますが、まぁ私も本当のことは分かりません。良いことばかりじゃないでしょう。でもテレビ局が低俗な週刊誌のネタを検証もせずに流していること、ジャニーズ事務所側の問題点には触れないこと、テレビ界に多大なる貢献をしてきた彼らを擁護する様子もないことは非常に不愉快ですし、許せません。

最後に紅白に出演か、なんて言われているようですが、華々しいステージでの解散だったと、いま叩いているメディアが手のひらを返して彼らの功績を称えるかと思うとゾッとします。考えたくもないですが、メンバーの誰かが亡くなるときにはすっかり今の騒動はなかったことにして、自社のアーカイブ映像をたっぷり流すのでしょう。

 

マイケル・ジャクソン裁判によって、マイケルの名誉は傷つけられました。それだけでなく、この裁判に長い時間がかかり、精神的・肉体的に疲弊し、音楽活動が妨げられました。マイケルの死の原因は不眠症による麻酔薬の使用でしたが、この裁判のストレスがなければ違っていたのではないかと思います。音楽界にとって大きすぎる損失です。

 

SMAPはここ数年、00年代の売れ線を脱皮して、椎名林檎やMIYAVIなどジャンルやキャリアにこだわらない提供陣で攻めた音楽活動をしていました。また、東日本大震災に関連する活動や、27時間テレビや5人旅での注目、パラリンピックのサポーターなど、加齢も武器にしてまた新しいアイドル像を更新し、個人的には何度目かのピークを迎えていたと思っています。

今年は特に、次は“56”枚目ということで稲垣さんをフィーチャーしたシングルになるのではないかと期待し、2年に1度のライブイヤーということで、スマスマのS-LIVEで共演した岡村靖幸星野源cero、リミックス等で提供していたtofubeatsの参加したアルバムが出るのではないかと期待し、振付や世界観がかっこいい昨年リリースの『華麗なる逆襲』や『Otherside』がライブで観られることを期待していました。

更に言うと、スマスマは今年の4月で20周年ということで昨年からスタッフが盛り上げようとしていましたし、デビュー25周年の特番も本来ならあったでしょう。

そういうあったはずの未来が奪われつつあることが一番悲しいです。事務所内での地位だとか、オリンピック利権だとか、どうでも良いんだよ・・・・・・

 

どうしたいのか、どうするべきなのか、何が真実なのか、分からないことばかりだけど、マイケルと同じことを繰り返したくないし、繰り返させたくないという気持ちは強いです。時代は変わっていて、少しは良い世の中になったのだと信じたい。同じ悲劇を黙って見ていると後悔することはわかっている。

 

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 ※マイケル・ジャクソンについては軽く確認しましたが、調べたのはかなり前なので間違っているところあったらすみませんご指摘ください…