MUSIC2014
2014年、よく聴いたものとか好きだったもの、薦めたいもの。
自分の好みが固まってきたのと、音楽に逃げることが少なくなったからか、例年以上に新譜を聴いた枚数が少なかった気がする。でも、読みたいと言ってくれる人もいるから書いてみます。
1.cero『Orphans/夜去』
年末の発売でしたが、3曲とも好きすぎてどうにかなってしまいそう。毎日聴きたい。
『Orphans』はギターの橋本くんがceroで初めて作曲した曲に、ボーカル高城くんが『夫のち○ぽが入らない』というエッセイに感銘を受けて書いた詞をつけたという、ceroの中で異色の作品。第一印象は『とてもポップで可愛らしい感じの曲だなぁ』と思ったのですが、聴く度に表情を変えていく、すごい曲だ。
別の世界では ふたりは姉弟だったのかもね
淡いラブソングのようで、映画一本分くらいのドラマが詰まっている壮大な曲とも言える。可愛らしさだけでなく、孤独もエロさもあって、高城くんのハスキーな声は更に想像を掻き立てる。一番と二番で、時間の経過とともにカメラが移動するように話者が変わる流れも美しい。
『夜去(ようさり)』はもうちょっとアンニュイ。動きの少ないメロディでアレンジも抑えめ、美しく拡がるコーラスはまさに夜が来た感じで、涙腺を刺激される曲。
LEDの雪が降る
という現代の風景を、美しい曲の歌い出しにできる高城くんは素晴らしい作詞家、というより作家と言いたいくらい。1stALとリンクしているのも楽しい。
『1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)』は小沢健二カバー。静かで冷たい印象の『Eclectic』収録曲を、先の2曲よりもむしろ最近のceroらしい、ブラックなアレンジで。オザケンでシャウトする高城くん最高です。ホーンの”パパラッパ”のリフが優しくって大好き。ぜひぜひ3曲通して聴いていただきたいです!
2.SMAP『Mr.S』
ついにジャニヲタになってしまいました。というのはさておき。SMAPの曲は90年代の名盤『007』をはじめブラックミュージックの影響が色濃かったり、最近は有名ミュージシャンを幅広く起用していたりと、以前から好きだったのですが、このアルバムはその集大成とも言える内容になっていると思います。
まずリード曲の『Mr.S -SAITEI DE SAIKOU NO OTOKO-』がかっこよすぎる。
ミュージカル調の豪華なアレンジで、”shyでstraight” ”紳士で少年”といった二面性を持った”Mr.S”を描写していく。Bメロで4人のソロが次々入れ替わり、サビでユニゾンになった時の無敵感。そして中居くんのソロを挟んでまたユニゾンに戻る緩急が、まさに乙女心を揺さぶられているようで、今のSMAPに似合いすぎる、そしてSMAPにしか歌えない曲。
そしてお気に入りが稲垣・草彅の『DaDaDaDa』。こちらはさかいゆう提供曲の軽快なディスコチューン。
素知らぬような顔で 気のないフリして 本当は二人して そしてミラーボールが回り始める
4つ打ちの魔法に身をゆだねて
なんて、みんな絶対好きでしょ?笑 優しい声のふたりが歌っていて、ラップパートも新鮮。男版のアイドルラップはこれだ!という感じ。語感の良さも気持ち良い曲。
ゲスの川谷さん作のバラード『好きよ』も素晴らしい。この歌割り決めた人天才です。
1番ABメロ香取さん→サビ稲垣さん→2番ABメロ草彅さん→サビ木村さん→Cメロ4人逆順→大サビ中居さんと、異様にひとりのソロが長くて、それぞれの歌声の強烈な個性を堪能できる。
最初の香取さんの、父性すら感じる包容力に驚いた。そして稲垣さんの中性的な艶のある声。
2番はソフトな草彅さんのABメロと強い木村さんのサビで印象が1番と逆転するのも良いし、大サビで中居さんのハスキーな声が来るのは切なさ倍増。
好きよ、と繰り返すシンプルなラブソングながら、SMAPというグループの強さも感じる曲。
シングル『Joy!!』『Mistake!』が最高なのはもちろん、凛として時雨TK作の稲垣吾郎『Dramatic Starlight』をはじめ、ソロ曲の出来も良くて他の曲と見劣りしないし*1、Koji Nakamuraの宇宙っぽい壮大なダンスロック『Future』はSMAPに今までなかった感じだし、ライブを意識したアイドルソングも楽しいし、とても聴き応えのあるアルバム。
音楽好きにこそ聴いてほしい。
3.tofubeats『First Album』
『ディスコの神様』『Don't Stop The Music』『おしえて検索』といった既発曲が収録されているだけでも良盤が約束されていたアルバムですが、新録の歌モノもインストも捨て曲なしの18曲も収録(笑)普段は曲数多いアルバムは苦手なのですが、トーフさんの曲は聴いていて疲れることなく、すっと入ってくるので、気づけば聴いてることが多かったです。
森高千里、藤井隆、東京女子流・新井ひとみ、BONNIE PINK、PES他、豪華なゲストが参加していてもちろん素晴らしいのだけど、結局トーフさん本人が歌ってる曲が好きだったりする。パーティー感ある楽曲は大好きなのに、
すこしずつ急になる坂を登るのはつらくない だけど突然悲しくなる (『way to yamate』)
の孤独感にとても安心したりするんだ。
それから、『20140803』の“てゆか毎日”という歌い出しが好きで一番聴いたな。トーフさんは歌うの得意じゃないみたいですが、”普通の人感”というのは時にとても大切で、その辺のお兄さんぽい(失礼)彼の雰囲気のお陰で、おしゃれヒップホップもダンスミュージックも生活に寄り添う音楽として聴けるのかなと思います。
4.シャムキャッツ『AFTER HOURS』
これは”もっと評価されるべき!枠”です(笑)
『MODELS』と『AFTER HOURS』という大名曲が2曲も収録されているだけで2014年を代表するアルバムと言えるのでは。この2曲は絶対聴いてみてほしい。
『MODELS』は同棲カップルの曲。
なるべく長く続ける為にはちょっとした工夫もいるんだなんてことを
若いなりに彼は考えている
という一節から想像される、楽観も悲観もしない、ドライでもウェットでもない現代のカップル像。
そして、今となっては懐かしいあの空気を刻印*2した、
タモリがはしゃぎくだらなく午後が始まる頃
というフレーズ。
1番で彼のこと、2番で彼女のことを描いていて映像的なのはcero『Orphans』とも通じるけれど、こちらは第三者視点で、今この瞬間を切り取ったという印象が強い。
これがシャムキャッツらしい軽いギターロックに乗るのが最高に気持ち良いです。
『AFTER HOURS』は地味ながらも切ないメロディに、夏目くんの気だるくセクシーなボーカルがとても美しいです。みんなで遊んだ帰り道、冷たい明け方の空気がそのまま曲になった感じ。
ドライブに行くならBGMはこのアルバムにしたい。
5位以降はあっさり目にいきますっ
5.星野源『Crazy Crazy/桜の森』
「Crazy Crazy/桜の森」(初回限定盤)(DVD・スリーブケース付)
- アーティスト: 星野源
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2014/06/11
- メディア: CD
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とにかく『桜の森』が好きで好きで好きで。星野源流ダンスミュージック!何十回聴いてもイントロで心が踊る。
『Crazy Crazy』はフェスで聴いた時の爆発力がすごかった。思えば随分遠くまで来たのに、ちゃんと新曲を好きと思えるから星野源はすごい。
6.aiko『泡のような愛だった』
aikoのアルバムはいつも一曲目が素晴らしくて聴き始めた瞬間にやけてしまうんですが、今回の『明日の歌』は特に衝撃でした。
デビュー14年目かな?にして作詞方法を変えてみたとかで、ものすごく言葉が詰め込まれている。それが恋の切迫感と重なって、切なさとともにaikoのロックな部分が良い具合に出たアルバムになっています。
7.lyrical school『FRESH!!!』
正直最初に聴いたときピンと来なかったのに(愚かすぎる)、これもライブでの爆発力がものすごくて、tofubeats最高ー!(by meiちゃん)って感じです。
ラップをするのは楽しいです!
から始まるハッピーな高揚感から、コール&レスポンスが捗るフックと緩急の連続。ファンが参加して完成するように作られたアイドルソングは素晴らしい。
8.婦人倶楽部『FUJIN CLUB』
婦人倶楽部は、2012年のベスト4に挙げたカメラ=万年筆の佐藤望くんがプロデュースして、佐渡の主婦が歌うユニットです。意味が分からないと思いますが、曲は台湾の風味のする渋谷系キラキラおっしゃれサウンドです。矢野顕子の伊勢丹曲と双璧をなす、三越曲。
2曲目『しまうた』はCorneliusの手掛ける「デザインあ」の佐渡バージョンという感じ。
3曲目『家事の音楽』はくるり『THE PIER』の1曲目『2034』が好きな方はきっと好きなはず。
ジャケは川島小鳥さん。もう在庫がないみたいなので、気になる人は急げ!ループしても飽きないのでお買い得だよ。
9.王舟『Wang』
優しく穏やかな声と気持ちの良いメロディラインはそのままに、サウンドがものすごく垢抜けてびっくり。陰から陽へ。このジャケットがぴったり似合う爽快感。
それにしても良い声…
10.矢野顕子『飛ばしていくよ』
若いトラックメーカーを多数起用しているんですが、無理してる感じやイタさが微塵も感じられないのが、恐ろしいほど素晴らしい。パワフルな矢野顕子が若い才能から更なる推進力を得て、別次元へ。
勢いのありすぎる表題曲『飛ばしていくよ』も大好きだけど、BOOM BOOM SATELLITESがトラックを制作したラスト『Never Give Up on You』の重厚なカッコよさは何度聴いても涙ぐんでしまうほど。
というわけで以上10枚です!
聴いてみてね。
過去のやつも恐る恐る貼っておく。